カテゴリ:海辺の植物( 9 )
ハマヒルガオ(浜昼顔)
 ハマヒルガオ(浜昼顔)は、ヒルガオ科ヒルガオ属の多年草です。世界に広く分布します。日本では、全国の浜辺に自生する在来種です。名の由来は、浜に生えるヒルガオ(昼顔)から。昼顔は、アサガオ(朝顔)に対して日中も咲いている事から。英名は、Sea bindweed、sea bells、等。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae Juss. (1789))は熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には5属10種があります。ヒルガオ属 (Convolvulus L. (1753))は、熱帯から温帯に約25種が分布し、日本には4種1)が自生します。

 暖地の海岸砂浜に自生します。地下茎を砂地に長く延ばし、群落を作ります。茎は蔓性で這います。葉は互生します。基部が心形の腎円形で、長さ2~4cm、幅3~5cm。革質で光沢があり、葉脈が目立ち、内側にやや反って丸まります。透明な細胞膜のクチクラ(Cuticula)層があり、表面を保護します。乾燥に強い構造です。

 花期は、5月から6月頃。葉腋から長い花柄を出し、花を付けます。包葉は1~1.5cmの卵形で2枚あり、5枚の萼片を囲みます。属名のCalystegiaは、calyx(萼)+ stege(蓋)で、この特徴を表しています。花冠は淡紅色の漏斗形の合弁花で、花径は4~5cm。花冠の先端は浅く5つに裂け星形となります。花冠底と5隅は白色で花冠先端まで伸びます。雄しべ5本、雌しべ1本で柱頭は2分岐します。花柱基部に5つの蜜壺があります。夕方には萎む一日花です。

 果実は蒴果です。苞と萼に包まれた球形で、長さ1.5~2cm。内部に空室があり水に浮きます。種子は黒色で4個あり、長さ約5~8mm。繁殖は実生の他、地下茎でも行われます。染色体数は、2n=22。

 品種として、シロバナハマヒルガオ(白花浜昼顔)Calystegia soldanella (L.) R.Br. f. albiflora H.Hara 、花色の濃いベニバナハマヒルガオ(紅花浜昼顔)Calystegia soldanella (L.) R.Br. f. rubriflora Asai があります。

1)ハマヒルガオ(浜昼顔)、コヒルガオ(小昼顔)、ヒルガオ(昼顔)、ヒロハヒルガオ(広葉昼顔)。

Japanese common name : Hama-hirugao
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Calystegia soldanella (L.) R.Br.

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蕾は花冠をねじりながら伸びてくる。

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ハマヒルガオの群落。小さな葉はテリハノイバラで、生育地が競合している。

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左:2枚の抱葉が5枚の萼を囲む。右:葉は肉厚で葉脈が目立つ腎円形。
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花柱基部に5つの蜜壺がある。柱頭は2分岐する。蟻が介在。

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花冠が縮れながら萎み、枯れた後、成熟した蒴果となる。
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2010.05.18
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2016.04.26 背景の細長い葉は、コウボウムギ(弘法麦)
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2016.04.26 大浜海岸


ハマヒルガオ(浜昼顔)
ヒルガオ科ヒルガオ属
学名:Calystegia soldanella (L.) R.Br.
花期:5月~6月 多年草 匍匐性 草丈:5~20cm 花冠径:4~5cm

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【学名解説】
Calystegia : calyx(萼)+ stege(蓋)/ヒルガオ属
soldanella : 小さい貨幣/イワカガミダマシ属(Soldanella)の転用
L. : Carl von Linne (1707-1778)
R.Br. : Robert Brown (1773-1858)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口左岸浜辺 2010.05.18, 2016.04.19 2016.04.26
大浜海岸 2016.04.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 28 April 2016
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by pianix | 2016-04-28 00:00 | 海辺の植物 | Comments(0)
コウボウムギ(弘法麦)
 コウボウムギ(弘法麦)は、カヤツリグサ科スゲ属の多年草です。日本・朝鮮・台湾・中国等の東アジアが原産で、国内では北海道から沖縄にかけて分布する在来種です。海浜植物で、砂浜に生育します。名の由来は、根茎の繊維を弘法大師の筆に、穂を麦に見立てたものという説が有力。弘法大師が砂浜でも育つ麦に似た穂を付ける植物を植える指導をしたからとの説は違うと主張する研究者もいます。別名のフデクサ(筆草)は、地下茎の葉鞘の繊維で筆を作った事から。英名は、Japanese sedge、あるいはAsiatic sand sedge。

 カヤツリグサ科(Cyperaceae Juss. (1789))は、世界中に約90属7000種類が分布します。スゲ属(Carex L. (1753))は、世界に約2000種があり、日本には変種を含めると約252種が分布します。

 長い地下茎があり、時に10mを超える事もあります。匍匐茎によって繁殖し群落を作ります。葉は根元から出て、長さ20cm内外の線形で、微細な鋸歯があり、反り返ります。所々の節から花茎を出し、10~20cmに立ち上げます。茎は3稜があり、断面は3角形です。雌雄異株です。

 花期は4月から6月頃。それぞれの花穂は4~6cm。雄花は緑色で、1枚の鱗片があり、雄しべが包まれます。雌花は茶色で、長さ1cm内外の扁平で楕円形をした果胞があり、1枚の鱗片があります。果胞は壺状で、底に雌しべがあり、先端の口から柱頭を出します。海岸の砂防が見込める重要な植物の1つです。

Japanese common name : Koubou-mugi
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Carex kobomugi Ohwi


コウボウムギ(弘法麦)
別名:フデクサ(筆草)
カヤツリグサ科スゲ属
学名:Carex kobomugi Ohwi
花期:4月~6月 多年草 草丈:10~30cm

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【学名解説】
Carex : ラテン古語Cladium mariscus|keirein(切る)/スゲ属
kobomugi : 弘法麦(日本名)
Ohwi : 大井 次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.00km 大浜海岸 2006.06.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: August 12, 2006
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by pianix | 2006-07-10 00:00 | 海辺の植物 | Comments(1)
シロバナマンテマ(白花マンテマ)
 シロバナマンテマ(白花マンテマ)は、ナデシコ科マンテマ属の越年草です。ヨーロッパが原産で、日本には江戸時代の弘化年間(1844~1848)に園芸用途で渡来したとされています。逸出して北海道から九州に広がった帰化種です。名の由来は、白い花を付けるマンテマから。移入された時のマンテマンの名が省略されたもの、あるいは学名のmaritimaやAgrostemmaが変化したものとの説があり、詳細は不明です。

 ナデシコ科(Caryophyllaceae Juss.,1789)は、熱帯から寒帯まで約75属1200種が分布、マンテマ属(Silene L. (1753))は北半球に約200~700種があります。

 茎は分枝して毛があり、草丈は30~50cm。葉は対生します。柄は無く全縁、両面に短毛があります。下につく葉はヘラ形で鈍頭、上の葉は広被針形で鋭頭です。花期は5月から7月頃。茎先を2から3に分枝させ、花序の片側に偏って5弁花をつけます。花色は白色から淡紅色まであります。花柄は無く、花径は10~15mmの離弁花です。中央に2裂した鱗片が5つあります。雌雄同株で、花柱は3本。萼筒は円筒形で赤い10脈があります。茎や萼筒には長毛と腺毛があり、粘着します。果実は蒴果です。

参考:マンテマ

Japanese common name : shirobana-mantema
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Silene gallica L. var. gallica

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シロバナマンテマ(白花マンテマ)
ナデシコ科マンテマ属
学名:Silene gallica L. var. gallica
花期:5月~7月 越年草 草丈:30~50cm 花径:10~15mm

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【学名解説】
Silene : sialon(唾液)|ギリシャ神話のシレネス(Silenes)に因む/マンテマ属
gallica : gallicus(フランスの古名ゴール地方の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 大浜海岸 2006.06.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 July 2006
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by pianix | 2006-07-07 00:00 | 海辺の植物 | Comments(0)
ハマゴウ(浜栲)/実
 ハマゴウ(浜栲)は、シソ科ハマゴウ属の落葉小低木です。近年にシソ科に転科されました。クロンキストおよびエングラー体系ではクマツヅラ科で、クマツヅラ属、ムラサキシキブ属、クサギ属、イワダレソウ属、そしてハマゴウ属等があります。その幾つかは良く知られていますが、ムラサキシキブやクサギ、ランタナなど、どれも球状の実を付ける事が思い浮かべられます。このハマゴウも、球状の実を付けます。

 浜辺に生育するハマゴウの実は、コルク質で、波に運ばれて行く海流散布植物として適した構造をしています。日本では本州以南に、また、東南アジアを越えてオーストラリアに達し、南大西洋岸にまで分布しています。実のできはじめは緑色で、やがて赤くなり、熟すと黒色に変化します。この状態でも萼が付いたままになっています。核果で、内部に4個の種子が入っています。

 乾燥させた果実をマンケイシ(蔓荊子)と呼び、滋養強壮、解熱、消炎に使われる事から、薬草園で栽培されている事があります。花を愛でたり観葉植物として扱う事は稀で、もっぱら薬用として重んじられてきました。

参考:ハマゴウ(浜栲)/花

Japanese common name : Hamagou
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Vitex rotundifolia L.f.
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2005.11.22


ハマゴウ(浜栲)
別名:ハマハヒ(浜未浜比)
シソ科ハマゴウ属
学名:Vitex rotundifolia L.f.
花期:7月~9月 落葉小低木 樹高:30~60cm 花径:10~15mm
果期:9月~10月 実径:約8mm

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【学名解説】
Vitex : vieo(結ぶ)/ハマゴウ属
rotundifolia : rotundifolius(円形葉の)
L.f. : Carolus Linnaeus filius (1741-1783)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 左岸浜辺 2005.11.22
静岡県焼津市石津浜 2015.08.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

9 December 2005
Last modified: June 14, 2008
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by pianix | 2005-12-09 00:00 | 海辺の植物 | Comments(2)
ツルナ(蔓菜)
 ツルナ(蔓菜)は、ハマミズナ科ツルナ属の多年草です。世界に分布する海岸植物です。日本では太平洋側の浜辺に生育します。蔓状で食用とされる事から、蔓の菜っ葉という意味で蔓菜の名が付いています。英名は、New Zealand Spinach(ニュージーランド・ホウレン草)で、キャプテン・クック(James Cook (1728-1779))がニュージーランドから持ち帰った事に由来しています。

 ハマミズナ科(Aizoaceae Martinov (1820))は、約135属1800種が分布します。旧分類のクロンキストおよびエングラー体系では、ツルナ科でした。ツルナ属(Tetragonia L. (1753))は、日本にはツルナのみが自生します。

 茎は木質化し地を這い、蔓状に伸び、途中で立ち上がります。全体的に、ざらついた柔らかな感触です。表面に非常に細かな粒状の突起物があるためです。葉は互生します。肉厚の三角形状葉で長さ3~7cm。食用となります。

 花期は4月から11月頃。小さな黄緑色の花を、葉脇に付けます。花びらに見えるのは萼片で、3~5裂しています。長い期間にわたって花をつけます。果実は核果です。角が生えたような形状で、波に乗って漂流し、海流の行き着く浜に打ち上げられて根付きます。染色体数は、2n=16。

 全草を乾燥させ、生薬のバンキョウ(蕃杏)として用います。水はけの良い土や砂地で、日当たりの良い明るい環境であれば良く育ちます。江戸時代から食べられてきた野菜で、若い茎や葉を灰汁抜きして、おひたしや和え物として調理されます。

Japanese common name : Turuna
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Tetragonia tetragonoides (Pall.) Kuntze


ツルナ(蔓菜)
別名:ハマヂシャ(浜萵苣)/ニュージーランド・スピナッチ(New Zealand spinach)
ハマミズナ科ツルナ属
学名:Tetragonia tetragonoides (Pall.) Kuntze
花期:4月~11月 多年草 草丈:30~60cm 花径:約3~5mm

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【学名解説】
Tetragonia : tetra(四)+gonia(膝)/ツルナ属
tetragonoides : tetragonus(四角の)+ides(似た)
Pall. : Peter Simon von Pallas (1741-1811)
Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 左岸浜辺 2005.11.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 December 2005
Last modified: June 14, 2008
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by pianix | 2005-12-08 00:00 | 海辺の植物 | Comments(0)
イソギク(磯菊)
 イソギク(磯菊)は、キク科キク属の多年草です。大変狭い地域に生息する日本原産の在来種です。範囲は千葉県犬吠崎から静岡県の御前崎あたりまでで、海岸沿いの岩場に自生します。房総半島、伊豆半島とも自生種が見られますが、土手沿いのものは品種改良されて移植されたものがあるようです。

 海辺に咲く花は葉に特徴があり、厚みを帯びているものが多いようです。イソギクの葉も同様に厚く、葉裏面には白い毛が生えています。それが縁沿いまで達しているので、表面から見ると白の縁取りに見えます。

 花には、周りを飾る花びらに相当する舌状花はありません。黄色の小さな管状花だけで成り立ち、それが散房状に多数付いています。舌状花を持つのは園芸品種のハナイソギク(花磯菊)で、菊との交雑種です。花壇や鉢植えの用途として、園芸種が広く出回っています。初夏に挿し木で繁殖する事ができます。

Japanese common name : Iso-giku
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Chrysanthemum pacificum Nakai


イソギク(磯菊)
キク科キク属
学名:Chrysanthemum pacificum Nakai
synonym : Dendranthema pacificum (Nakai) Kitam.
花期:10月~12月 多年草 草丈:30~40cm 花径:5~6mm 果期:11~1月

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【学名解説】
Chrysanthemum : chrysos(黄金色)+anthemon(花)/キク属
pacificum : pacificus(太平洋の)
Nakai : 中井猛之進 (1882-1952)/東京帝国大学植物学科教授
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Dendranthema : dendron(樹木)+anthemon(花)/キク属
Kitam. : 北村四郎 (1906-2002)/京都大名誉教授・「原色日本植物図鑑」著者
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ハナイソギク(花磯菊)
Chrysanthemum x marginatum (Miq.) Matsum.
x : 二種間交配種
marginatum : marginatus(縁取りのある)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Matsum. : 松村任三 Ninzo Matsumura (1856-1928)

撮影地:静岡県静岡市
駿河区西島 2005.11.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 January 2014
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by pianix | 2005-12-07 00:00 | 海辺の植物 | Comments(4)
ツワブキ(石蕗)
 ツワブキ(石蕗、艶蕗)は、キク科ツワブキ属の多年草です。私が今年初めてを見たのは、10月30日。まだ蕾の状態で、一花だけ開きかけている状態でした。一ヶ月を経た今は、溢れるばかりに咲いていますが、すでにくたびれてしまったものまであります。撮影地は、日本平という、海に近い山の中腹です。

 名の由来は、艶葉蕗(ツヤハブキ=艶のある葉の蕗)から来ているという説があります。温暖な地方の海沿い岩場に自生する事から石蕗の字が充てられ、照り返しによる乾燥や、潮風の塩分に耐えるような葉の造りになっています。中国名は、大吳風草(dà wú fēng cǎo)。英名は、Japanese silverleaf。

 太い根茎があり、高さ50~80cmになります。根生葉のみで、長さ10~38cmの葉柄の先に腎臓形の葉をつけます。長さ4~15cm、幅6~30cm。革質で葉表は光沢があり、新芽は葉裏に茶色の綿毛があります。浜辺に咲くハマヒルガオ(浜昼顔)も然り、花の部分は見慣れた形なのに、葉の形状が明らかに異なるのが、これらの特徴です。

 花は一目でキク科であると分かります。長さ1.5~7cmの花柄の先に散房状に黄色の頭花を出します。頭花は径4~6cmで、周囲に舌状花(雌花)、中央は筒状花(両性花)がつきます。総苞は筒形。果実は痩果です。褐色の冠毛がつき、長さ5〜6.5mm。染色体数は、2n=60。

 江戸時代から園芸品種が作られていて、現在では庭園や公園でも見る事ができます。観葉植物用途として、斑入りの品種もあります。性質は堅強で、あらゆる所で花を咲かせる事ができます。若い葉は茹でれば食べられます。また、民間薬(抗菌作用)としても使われるので、薬草園でも見る事ができます。サザンカと共に、冬の到来を知らせる花の一つです。

 品種に、ヤエツワブキ(八重石蕗)Farfugium japonicum (L.) Kitam. f. plenum (Nakai) Kitam. 、変種に、男女群島のみに分布するオオツワブキ(大石蕗)Farfugium japonicum (L.) Kitam. var. giganteum (Siebold et Zucc.) Kitam. 、琉球地方(奄美大島・沖縄本島・西表島)に分布するリュウキュウツワブキ(琉球石蕗)Farfugium japonicum (L.) Kitam. var. luchuense (Masam.) Kitam. があります。屋久島と種子島には、カンツワブキ( 寒石蕗)Farfugium hiberniflorum (Makino) Kitam. があります。

Japanese common name : Tuwabuki
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Farfugium japonicum (L.) Kitam.


ツワブキ(石蕗)
キク科ツワブキ属
学名:Farfugium japonicum (L.) Kitam.
花期:10月~12月 多年草 草丈:30~80cm 花径:4~6cm

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【学名解説】
Farfugium : フキタンポポの古名。farius(列)+fugus(駆除)/ツワブキ属
japonicum : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Kitam. : 北村四郎 Shirō Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
駿河区谷田/日本平中腹 2005.12.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

5 December 2005
Last modified: 18 January 2019
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by pianix | 2005-12-05 00:00 | 海辺の植物 | Comments(4)
ハマゴウ(浜栲)/花
 浜辺に到着して真っ先に出迎えてくれたのは、ハマゴウでした。砂地を這い、途中から直立して葉を輪状に出しています。青紫色の唇形の花を咲かせていました。花冠は5裂し、雄しべ4本と雌しべ1本があります。葉の縁取りが白く見えますが、葉裏に毛が密生しているからです。草本のようですが、実は木本。

 浜辺の砂は年々減少しているようすです。私が子供の頃、砂浜が続いていたのを記憶しています。その範囲が狭まり、テトラポットが雰囲気を壊すまでになりました。河口付近ではサーフィンを楽しむ若者と釣り人がいました。波のとどろきは以前と変わりません。

 波によって実が運ばれて、各国の浜辺に広がり、そこで花を開かせているハマゴウです。異国の地でこのハマゴウを眺めている人がいるかもしれないと想像を馳せると、地図上の国境は消えて無くなります。実は生薬ではマンケイシ(蔓荊子)と呼ばれて滋養強壮、解熱、消炎に使われるそうです。茎と葉は乾燥させて入浴剤としても使えるそうで、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり、冷え性に効果があるとされています。

 ハマハヒ(浜未浜比)からハマホウへ、そしてハマゴウと名前が変遷したであろうと言われています。線香として使われた事から「浜香」の説もあります。「荊」は棘のある低木の総称ですが、ハマゴウには棘がありません。「栲」は布類の総称です。

参考:ハマゴウ(浜栲)/実

Japanese common name : Hamagou
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Vitex rotundifolia L.f.

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葉は対生する。花冠は漏斗状で上部が5裂する。雄しべは4個。
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ハマゴウ(浜栲)
別名:ハマハヒ(浜未浜比)
シソ科ハマゴウ属
学名:Vitex rotundifolia L.f.
花期:7月~9月 落葉小低木 樹高:30~60cm 花径:10~15mm
果期:9月~10月 実径:約8mm

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【学名解説】
Vitex : vieo(結ぶ)/ハマゴウ属
rotundifolia : rotundifolius(円形葉の)
L.f. : Carolus Linnaeus filius (1741-1783)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 左岸浜辺 2005.07.30, 2005.09.14, 2006.7.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

2 September 2005, 9 September 2015
Last modified: 22 November 2017
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by pianix | 2005-09-02 00:00 | 海辺の植物 | Comments(0)
ハマユウ(浜木綿)
 ハマユウ(浜木綿)は、ヒガンバナ科ハマオモト属の多年草です。アジアに分布し、日本では千葉県以南の海に面した地域に分布します。名の由来は、白布(ゆう)のような花色で海岸近くに咲く事から。ハマオモト(浜万年青)は、葉がオモト(万年青)に似て海岸近くに咲く事によります。オモトの語源は不明です。豊前の御許山からとか、オオモト(大本)やアオモト(青木)からの転訛と言われています。漢名の万年青は、葉がいつも青々としている事から。

 ヒガンバナ科(Amaryllidaceae J.St.-Hil. (1805)) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))に分類され、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。ハマオモト属(Crinum L. (1753))は、約180種が分布します。

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 7月30日、無線機店へアマチュア無線のQSLカードを発送するために出かけました。せっかく海の近くまで来たのだからと海岸へ足を運びました。日が落ちてきた頃、ハマユウが涼しそうに咲いているのを見つけました。

 この帰り道は渋滞続きでした。静岡市で毎年行われる「安倍川花火大会」の日だったからです。戦時下、空襲で焼き出された方々の慰霊のために始まった花火大会です。多くの人たちが安倍川河川敷で荼毘(だび)に付されました。現在はその意味合いも薄れてしまったようですが、多くの人たちが見物に出かけてきます。車の規制が至るところで行われます。私は花火の音だけを聴きました。

 当時も咲いていたであろうハマユウと、家も人も焼き尽くした焼夷弾。なんとも不釣り合いな光景が脳裏にありました。

※有毒(リコリン)
染色体数は、2n=22。

Japanese common name : Hama-omoto
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Crinum asiaticum L. var. japonicum Baker


ハマユウ(浜木綿)
和名:ハマオモト(浜万年青)
ヒガンバナ科ハマオモト属
学名:Crinum asiaticum L. var. japonicum Baker
花期:7月~9月 多年草 草丈:50~80cm 花径:5~10cm

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【学名解説】
Crinum : crinon(百合)/ヒガンバナ科
asiaticum : asiaticus(アジアの)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Baker : John Gilbert Baker (1834-1920)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.25km 左岸土手 2005.07.30

Last modified: 18 August 2005
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by pianix | 2005-08-18 00:00 | 海辺の植物 | Comments(0)