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ハルシャギク(波斯菊)
 ハルシャギク(波斯菊)は、キク科ハルシャギク属の1年草です。北米西部原産で、明治初期に栽培用途として移入されたと言われています。栽培種が逸出して野生化しています。和名の波斯は、ペルシャ(現イラン)のことですが、原産地との関係はありません。別名のジャノメソウは、花冠が蛇の目模様であることから。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ハルシャギク属(Coreopsis L. (1753) は、アメリカやアフリカに約120種が分布します。

 園芸用途での花壇植えの他、日当たりの良い草地などで野生します。茎は無毛で、分枝しながら60~80cmの高さになります。葉は、対生します。2回羽状の複葉で深裂か全裂し、線形から線状披針形で先端は丸まります。蕾は暗赤褐色の筋があり球形。

 花期は、6月から9月頃。複集散花序1)を出し、柄の先に頭状花をつけます。皿状の総苞片は2列。総苞片は内片より外片が長くなります。花径は、3~4cm。花色は黄色で、中心部が紫褐色になります。舌状花は約8枚。先端は山状に浅く3裂します。黄色で、基部は紫褐色、不稔性です。中心部に紫褐色の筒状花が多数あり、両性花で、5本の雄しべの葯は合着して葯筒となります。

 果実は、痩果です。種子は翼があり、長さ1.5~4mm。属名のCoreopsisは、果実が南京虫(トコジラミ)に似ているとの意味ですが、果実を見て連想できる人は今では少ないかもしれません。染色体数は、2n=24。

 ハルシャギク属の全種は、外来生物法で輸入時に種類名と数量が記載された「種類名証明書の添付が必要な生物」に指定(外来生物法25条、外来生物法施行規則31条・32条)されています。

 同属のハルシャギクの仲間に次の種類があります。
ホソバハルシャギク(細葉波斯菊)Coreopsis grandiflora Hogg ex Sweet
イトバハルシャギク(糸葉波斯菊)Coreopsis verticillata L.
ハマベハルシャギク(浜辺波斯菊)Coreopsis maritima (Nutt.) Hook.f.
 ヘレニウム属に、マツバハルシャギク(松葉波斯菊)Helenium amarum (Raf.) H.Rock があります。

脚注:
1)複集散花序:複合花序のひとつで、集散花序が組み合わさる花序。主軸から横枝を出し、その分枝を繰り返す。

Japanese common name : Harusya-giku
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Coreopsis tinctoria Nutt.

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花壇に咲くハルシャギク。茎は細く無毛。中心部の紫褐色模様は変異がある。

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野生化して草地に繁殖する。葉は対生。2回羽状の複葉で、線形から線状披針形。

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果実は、痩果。



ハルシャギク(波斯菊)
別名:ジャノメソウ(蛇目草)、クジャクソウ(孔雀草)
キク科ハルシャギク属
学名:Coreopsis tinctoria Nutt.
花期:6月~9月 1年草 草丈:60~80cm 花径:3~4cm

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【学名解説】
Coreopsis : coris(南京虫)+opsis(似ている)/ハルシャギク属
tinctoria : tinctorius(染色用の、染料の)
Nutt. : Thomas Nuttall (1786-1859)
---
ホソバハルシャギク(細葉波斯菊)
grandiflora : 大きな花の
Hogg : Thomas Hogg (1777-1855)
ex : ~による
Sweet : Robert Sweet (1783-1835)
---
イトバハルシャギク(糸葉波斯菊)
verticillata : verticillatus(輪生の、環生の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
ハマベハルシャギク(浜辺波斯菊)
maritima : maritimus(海の、海浜生の)
Hook.f. : Joseph Dalton Hooker (1817-1911)
---
マツバハルシャギク(松葉波斯菊)
Helenium : Menelaus王の妻トロイのヘレン(Helena)の名/オグルマ属
amarum : amarus(苦味の)
Raf. : Constantine Samuel Rafinesque (1783-1840)
H.Rock : Howard Francis Leonard Rock (1925-1964)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km左岸 河川敷(植栽)2005.11.02
麻機湧水地第3工区 2017.09.24, 2017.09.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 January 2018
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by pianix | 2018-01-23 00:00 | | Trackback | Comments(0)
タコノアシ(蛸の足)
 タコノアシ(蛸の足)は、タコノアシ科タコノアシ属の多年草です。東アジアに分布します。日本では、本州以西に分布する在来種です。1997年に絶滅危惧II類(VU)、2007年に準絶滅危惧(NT)に指定1)されています。名の由来は、紅葉する花を吸盤に見立て花穂を茹でたタコの足に例えたもの。別名のサワシオン(沢紫苑)は、沢に咲く紫苑から。葉がシオン(紫苑)に似ているからと思われますが、使われる方はあまりないようです。中国名は、扯根菜(chě gēn cài)。

 タコノアシ科(Penthoraceae Rydb. ex Britt. (1901))は、1属が分布します。タコノアシ属(Penthorum L. (1753))は、東アジアや北アメリカ東部に2種が分布します。

 水辺や湿地に自生する抽水性の植物です。撹乱依存種2)で、生育地の変化や競合種により数が減少しています。根は不定根で長く伸び、走出枝によって群生します。茎は赤褐色で、直立します。草丈は30~80cm。葉は、互生します。狭披針形で、細かな鋸歯があり、長さ6~11cm、幅5~12mm。

 花期は、8月から10月。茎の先に総状花序を出します。花序枝を放射状に伸ばし、長さ4~12cm。花柄は長さ2~4mmで、腺毛があります。花径は、約5mm。普通、花弁は退化してありません。萼は5裂し、裂片は卵状披針形で長さ2mm以下。両性花です。雄しべは10本で長さ3~4mm、葯は黄色。雌しべは5本で下部で合着し、白色。果期に紅葉します。

 果実は、蒴果です。狭卵形で長さ約6mm。5室が輪状につき星形となります。先端が尖った心皮離生部と花柄についた心皮合着部で構成されます。萼裂片は反り返ります。乾燥すると茶色になり、上部の心皮離生部と心皮合着部にわずかな裂け目ができて種子を散布します。散布が終わる頃、とんがり帽子形状の心皮離生部が脱落します。

 種子は薄黄色から赤味を帯びた狭卵形で、長さ0.5~0.6mm。種子がまとまるとピンク色に見えます。表面に微細な疣状突起が多数あり、1室に400~500個程が含まれます。種子は約1ヶ月で発芽します。種子、及び地下茎によって繁殖します。染色体数は、2n=16。

脚注:
1)環境省レッドリスト2017カテゴリー
絶滅危惧II類(VU) : 絶滅の危険が増大している種
準絶滅危惧(NT) : 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
2)自然、及び人為的な耕起や刈取りなどの撹乱がなければ集団の存続が困難になる種

参考文献:
絶滅危惧植物タコノアシの保全と再生に関する生態学的研究. 米村惣太郎. 清水建設研究報告 第90号 平成25年1月
調整池の植生基盤に導入されたタコノアシ(Penthorum chinense Pursh)の経年的変化, 米村惣太郎・井原寛人. 日緑工誌 J. JPn. Soc. Reveget. Tech., 34(1),45-50, (2008)

Japanese common name : Tako-no-asi
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Penthorum chinense Pursh

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茎は直立し上部で枝分かれする。葉は狭披針形で互生。

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雄しべ10本、葯は黄色。雌しべは5本で下部で合着。

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果期の果序を茹でタコの足に例えた。

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1月のタコノアシ。

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果実は蒴果。5個が輪状につき、蓋にあたる心皮離生部がある。

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心皮離生部はとんがり帽子のような形状。裂け目がわずかに広がり種子を散布する。

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心皮合着部。心皮離生部は種子が散布された頃に脱落する。

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種子。狭卵形で、疣状突起が多数ある。長さ0.5~0.6mm。



タコノアシ(蛸の足)
別名:サワシオン(沢紫苑)
タコノアシ科タコノアシ属
学名:Penthorum chinense Pursh
synonym : Penthorum sedoides L. subsp. chinense (Pursh) S.Y.Li et K.T.Adair
花期:8月~10月 多年草 草丈:30~80cm 花径:4~5mm

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【学名解説】
Penthorum : pente(五)+horos(標準、特徴)/タコノアシ属
chinense : chinensis(中国の)
Pursh : Frederick Traugott Pursh (1774-1820)
---
sedoides : Sedum(ベンケイソウ属)に似た
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
S.Y.Li : Shi You Li (fl. 1988)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
K.T.Adair : Kent T. Adair (fl. 1994)
---
fl. : floruit(在世期、活動期)/生没年が不明な人物の場合に使用

撮影地:静岡県静岡市
葵区 麻機遊水池第3工区 2017.09.23, 2017.09.24, 2017.09.29, 2017.11.28, 2018.01.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

16 January 2018
Last modified: 19 January 2018
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by pianix | 2018-01-16 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
マユミ(真弓)
 マユミ(真弓)は、ニシキギ科ニシキギ属の落葉小高木です。日本、朝鮮半島、中国、サハリンに分布します。日本では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、弓の材料に使われた事から。中国名は、西南卫矛(xī nán wèi máo)、檀(tán)。英名は、Spindle tree。

 ニシキギ科(Celastraceae R. Br. (1814))は、世界に約100属1000種以上があり、ニシキギ属(Euonymus L. (1753))は世界に約220種、日本には18種が分布します。

 山野に自生します。灰白色の樹皮で裂けて縦筋が入り、高さ3~5mになります。庭木としても利用されます。材質は緻密で象牙色である事から、将棋駒、こけし、箱類の木工品用材とされます。枝は稜があり、柔軟で良くしなります。葉は、対生します。長楕円形で、長さ6~12cm、幅2〜8cm。細鋸歯があり鋭頭。葉柄は長さ5~20mm。冬に紅葉して落葉し、果実のみが残ります。

 花期は、5月から6月頃。芽鱗痕の腋から3~6cmの集散花序を出します。淡緑白色で径1cm程の花を1~7個つけます。萼片4個、長卵形の花弁4個、緑色の花盤に雄しべが4個つき、葯は赤色。中央に薄緑色の雌花があります。雌雄同株。花柱の長短2型があり、雌しべが短い花は結実しにくい。不完全雌雄異株説もあります。

 果実は蒴果です。倒三角形で4稜があり、長さ約8~10mm。熟すと4裂して種子を出します。種子は、長さ約7mm、幅約4mmの楕円形で、光沢のある赤色の仮種皮に包まれます。仮種皮を取り除くと、長さ約5.5mm。果実は長くつきます。冬芽は卵形。染色体数は、2n=64。

 果皮や種子はアルカロイド(エボニン1))が含まれ有毒です。誤食により、嘔吐、下痢、悪寒、大量摂取で痙攣を引き起こします2)。頭ジラミの殺虫剤としての利用がありました。

 変種に、カントウマユミ(関東真弓)Euonymus sieboldianus Blume var. sanguineus Nakai 別名、ユモトマユミ(湯元真弓)、アカマユミ(赤真弓)があり、葉裏の葉脈に突起状の毛が密生します。

 同属で、赤い実をつける次のものがあります。
ニシキギ(錦木)Euonymus alatus (Thunb.) Siebold f. alatus
ツリバナ(吊花)Euonymus oxyphyllus Miq. var. oxyphyllus
マサキ(柾)Euonymus japonicus Thunb.

脚注:
1)エボニン(Evonine) : C36H43NO17
2)日本の有毒植物 フィールドベスト図鑑 佐竹元吉著 / 公益財団法人日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報【有毒な木の実・草の実】Ver.1.02

Japanese common name : Mayumi
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Euonymus sieboldianus Blume

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花期は5月から6月頃。集散花序を出し淡緑白色の花をつける。葉は長楕円形。

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左:若い緑色の果実(5月)倒三角形で4稜がある。右:色づいた果実(12月)

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熟すと4裂して種子を出す。種子は光沢のある赤色の仮種皮に包まれる。

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左:仮種皮を取り除いた種子。右:種子の断面。

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左:1月の果実。長い期間残る。 右:寒くなると花序枝が赤くなる。

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左:太くなると灰白色の樹皮は裂けて縦筋が入る。 右:冬芽は卵形で鋭頭。



マユミ(真弓・檀)
別名:ヤマニシキギ(山錦木)、カンサイマユミ(関西真弓)、オオバマユミ(大葉真弓)、エゾオオバマユミ(蝦夷大葉真弓)
ニシキギ科ニシキギ属
学名:Euonymus sieboldianus Blume
synonym : Euonymus hamiltonianus auct. non Wall.
花期:5月~6月 落葉小高木 樹高:3~5m 花径:約1cm 果期:10~11月

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【学名解説】
Euonymus:eu(良い)+ onoma(名)/ニシキギ属
sieboldianus:Philipp Franz von Siebold (1796-1866)+iānus(シーボルトの)
Blume:Carl Ludwig von Blume (1796-1862)
---
hamiltonianus : William Hamilton (1783-1856)氏の
auct. non : auctorum(著者らの)+non(否定)/著者の命名では無い
Wall. : Nathaniel Wallich (1786-1854)

撮影地:静岡県静岡市
足久保川(安倍川水系) 2006.01.17
賤機山(Shizuhata-yama) 2016.04.29, 2016.05.04, 2016.05.30, 2017.12.28, 2018.01.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

9 January 2018
Last modified: 20 January 2018
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by pianix | 2018-01-09 00:00 | | Trackback | Comments(0)