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ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)
 ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)は、ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属の多年草です。ヒマラヤ山脈周辺が原産地です。日本には、明治初期に移入されたと考えられています。北海道から九州にかけて園芸用途で栽培されています。名の由来は、ヒマラヤ地方が原産であり、ユキノシタ科である事から。中国名は、短柄岩白菜(duǎn bǐng yán bái cài)。英名は、Himalayan creeping saxifrage。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種1)があります。ヒマラヤユキノシタ属(Bergenia Moench, 1794)は、中国、ヒマラヤ、中央アジア等に8種があります。

 根茎状の木質化した基部は初め這い、途中から花茎を立ち上げます。草丈は、10~50cm。葉は互生します。根生葉は光沢のある革質の倒卵形で、葉縁に棘状の鋸歯があります。長さ15~20cm、幅約10cm。長い葉柄があります。常緑ですが、寒さによっては赤褐色を帯びることがあります。

 花期は、2月から5月。茎先に集散花序を出し、桃色の花を多数付けます。花茎は径1~2mm。花径は2~3cm。花弁は倒卵形で、5~6個付きます。雄しべは10本で赤味を帯び、葯色は黄色、長さ6~7mm。雌しべは薄緑色で、長さ7~8mm。柱頭は2~3裂します。

 萼筒は椀形で、幅5~6mm。萼片は5~6裂し、三角状で、長さ約4mm、幅約4mm、先端は尖りません。果実は朔果です。胚珠は中軸胎座 2)。種子は長卵形で、長さ約0.5mm。染色体数は、2n=34。

 種間交雑品種が多く出回っています。ほぼ手入れなしの放任で毎年花をつけます。繁殖は、実生、株分け等で行います。別名でオオイワウチワ(大岩団扇)と呼ばれることがありますが、オオイワウチワ3)は、イワウメ科の別種です。

脚注:
1)以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。
2)中軸胎座 (axial placentation):合生雌しべで、子房の中軸に胚珠がつくもの。
3)Shortia uniflora (Maxim.) Maxim. var. uniflora

Japanese common name : Himaraya-yukinosita
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Bergenia stracheyi (Hook.f. et Thomson) Engl.

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基部は根茎状。葉は互生し、倒卵形。

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雄しべは10本、雌しべ柱頭は2~3裂する。写真左が2裂、右は3裂。

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茎先に5~8cmの集散花序をつける。

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左:受粉後の雌しべと雄しべ。 右:萼筒は椀形、萼片は5~6個。

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葉縁に棘状の鋸歯がある。 左:葉表 右:葉裏

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左:萼を取り払った雌しべ。3裂。右:種子は長卵形(未熟)

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2裂雌しべ子房部分 右は輪切り状態の子房

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中軸胎座につく胚珠


ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)
ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属
学名:Bergenia stracheyi (Hook.f. et Thomson) Engl.
花期:2月~5月 多年草(常緑宿根草) 草丈:10~50cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Bergenia : Karl August von Bergen (1704-1759)の名に因む/ヒマラヤユキノシタ属
stracheyi : Lieutenant-General Sir Richard Strachey (1817-1908)の
Hook.f. : Joseph Dalton Hooker (1817-1911)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Thomson : Thomas Thomson (1817-1878)
Engl. : Heinrich Gustav Adolf Engler (1844-1930)

撮影地:静岡県静岡市
葵区昭府町 2017.04.12
自宅 2018.03.12, 2018.03.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 March 2018
Last modified: 29 March 2018
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by pianix | 2018-03-21 00:00 | | Comments(0)
フキタンポポ(蕗蒲公英)
 フキタンポポ(蕗蒲公英)は、キク科フキタンポポ属の多年草です。ユーラシア大陸(中国からヨーロッパ)が原産です。日本には明治初期に移入された帰化種です。名の由来は、葉がフキ(蕗)に、花がタンポポ(蒲公英)に似ていることから(『頭註国訳本草綱目』牧野(1929))。別名の款冬(kuǎn dōng)は、中国名の音読みで、冬の至れる時期に花が咲くとの意味です。英名は、コルツフット(Colt’s-foot)で、子馬の足の意味。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。フキタンポポ属(Tussilago L. (1753))は、1属1種が分布します。

 葉は、互生します。花茎に鱗片状の小葉と綿毛がつき、草丈は5~10cm。開花後に出る根出葉は三角状心形で、長さ3~12cm、幅3~14cm。長い葉柄があり、葉裏に毛があります。花期は、1月から3月頃。頭状花序を茎頂に単生します。頭花は筒形、黄色で径2~3cm。花冠中央の筒状花は雄性。花冠周囲に輪状につく糸状の舌状花は雌性で、柱頭は2裂します。苞は鐘形で、総苞片は線形。花は昼開き夜に閉じる就眠運動を行います。

 果実は、痩果です。円筒形で長さ3~4mm。冠毛があり、長さ約1cm。染色体数は、2n=60。

 観賞用に栽培し葉を取り除いたものを、フクジュソウ(福寿草)の代用として正月飾りとして使われます。古来から薬用として用いられてきました。花蕾を乾燥させたものを生薬カントウカ(款冬花)として、鎮咳、去痰に用います。ピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine alkaloid)のツッシラギン(Tussilagine)及びセンキルキン(Senkirkine)を含有し使用には注意を要します。肝疾患者は禁忌。ドイツでは薬用販売禁止、カナダでは食用の規制がかかっています。なお、ワカントウカ(和款冬花)は、フキノトウ(蕗の薹)の花蕾を乾燥させたものです。

Japanese common name : Fuki-tanpopo
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Tussilago farfara L.
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開花後に出る根出葉は三角状心形


フキタンポポ(蕗蒲公英)
別名:カントウ(款冬)
キク科フキタンポポ属
学名:Tussilago farfara L.
花期:1月~3月 多年草 草丈:5~10(45)cm 花冠径:2~3cm

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【学名解説】
Tussilago : tussis(咳)+agere(追いやる、等多義)/フキタンポポ属
farfara : falcatus(鎌状の)/フキタンポポ古名
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 February 2018
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by pianix | 2018-03-06 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Comments(0)