モエギザトウムシ(萌葱座頭虫)
 モエギザトウムシ(萌葱座頭虫)は、ザトウムシ目スベザトウムシ科スベザトウムシ亜科スベザトウムシ属の陸生動物です。ダニに近縁とされていましたが、走脚亜綱(Dromopoda Shultz, 1990)に分類されるようになり、なお検討が続いています。日本、朝鮮半島、台湾に分布します。日本では、ほぼ全国に分布する在来種です。名の由来は、幼体や若い成体が萌葱色で、脚で地面を探りながら歩行する事から。

 ザトウムシ目(Opiliones Sundevall, 1833)は、世界に約40科、約4600種があるとされています。日本では約83種が知られています。スベザトウムシ科(Leiobunidae Banks, 1893 )は、北半球の北米やヨーロッパに450種が知られています。近年の分子系統解析での研究では、ニセフシザトウムシ属(Pseudogagrella Redikorzev, 1936)に近縁(Hedin et al., 2011)とされています。分類上で混乱があり、今後の解析が待たれます。

 特定の時期に、暗い林縁に群れをなして現れる事があります。豆粒のような体に対して脚が異様に長く、曲げた脚の中央下方に体が浮いているような形状です。体は楕円形で、後部がやや盛り上がります。腹部は萌葱色、背面は茶褐色で暗褐色の斑紋があります。体長は3~4mm。胴体と頭胸部の間にくびれ(腹柄)が無く、糸腺が無く糸を出さない事、直接交尾をする事から蜘蛛と異なります。

 4対8本の歩脚があります。歩脚の長さは、体に対して約20倍になります。第2脚が8cm以上と長く、触角のように探りながら歩行します。関節は7節あり、幾つかの節は白くなります。眼は1対あり、2眼はかなり近寄っています。蜘蛛の眼は8個。前歩脚の間に第一付属肢である一対の鋏角(きょうかく)があり、餌を噛みます。染色体数は、2n=20(1986. The Journal of Arachnology 14:12 3)。

 地理的分化や乾燥に弱い事が知られています。似た種に、ウエノモエギザトウムシ(Leiobunum japonicum uenoi Suzuki, 1964)、フシザトウムシ亜科のアカサビザトウムシ(赤錆座頭虫)Gagrellula ferruginea (Loman,1902)がいます。

Japanese common name : Moegi-zatou-musi
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Leiobunum japonicum japonicum Müller, 1914
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一対の眼、一対の鋏角がある。
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豆粒のような体から長い4対の歩脚が伸びる。


モエギザトウムシ(萌葱座頭虫)
ザトウムシ目スベザトウムシ科スベザトウムシ属
学名:Leiobunum japonicum japonicum Müller, 1914

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出現期:4月~10月/成体8月~10月(年一化)
体長:3~4mm(♂3mm、♀4mm)
食餌:雑食性。小昆虫、ミミズ

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.10.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 14 April 2018
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# by pianix | 2018-04-23 00:00 | | Trackback | Comments(0)
マンサク(満作)
 マンサク(満作)は、マンサク科マンサク属の落葉小高木です。本州(太平洋側)、四国、九州に分布する在来の日本固有種です。名の由来は、不明です。東北の方言で「まんずさく=先ず咲く」、枝に多数の花がつく事から「満作」との説があります。語源不明なため万作とも書き、漢字表記も当て字と思われます。中国名は、金縷梅(jīn lǚ méi)で、これはシナマンサク1)(支那満作)を指します。

 マンサク科(Hamamelidaceae R.Br. (1818))は、亜熱帯から暖帯に27属約80~90種が分布します。マンサク属(Hamamelis L. (1753))は、東アジアと北米に約4種が分布します。

 山地に多い落葉小高木で、樹高は2~5m。樹皮は灰色。葉柄は長さ5~15mm。葉は互生します。長さ5~10cm、幅5~7cmの菱状円形から倒卵形で、波状の鋸歯があります。葉裏は脈が隆起して目立ちます。葉柄や葉表に軟毛があるのは、シナマンサクです。

 花期は、2月から3月。葉に先立って花を咲かせます。丸めて収められていた花弁を展開するため、ねじれた細長いリボン状となります。花弁は黄色で4枚。長さ12~15mmで、花径は2~3cm。雌雄同株。雄しべ4個、線形の仮雄しべ4個があります。葯室は2個あり、葯色は黄色。雌しべ花柱は先端が2裂します。萼片は、暗紫色の卵形で4個。

 果期は6月頃。果実は蒴果です。褐色の腺毛がある卵形球状で固く、長さ約1cm。2裂して2個の種子を出します。種子は黒色の長楕円形で、長さ7~9mm。染色体数は、2n=24。

 萼片が黄色のものは、岡山県阿哲地方に自生するアテツマンサク2)(阿哲満作)で、準絶滅危惧(NT)。葉先が丸いのは、マルバマンサク2(丸葉満作)です。他に園芸品種が多数あります。

 樹皮を縄の代用として用いる事があります。虫瘤のマンサクメイボフシ(満作芽疣付子)や、マンサクメイガフシ(満作芽毬付子)が付く事があります。また、葉枯れの病気が発生する場合があり、原因の究明が急がれています。乾燥葉を民間療法や収斂化粧水とする事がありますが、薬用として用いられる事はありません。

脚注:
1)シナマンサク(支那満作)
Hamamelis mollis Oliv.
2)アテツマンサク(阿哲満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwi[準絶滅危惧](NT)
3)マルバマンサク(丸葉満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. discolor (Nakai) Sugim. f. obtusata (Makino) H.Ohba

Japanese common name : Mansak
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Hamamelis japonica Siebold et Zucc.

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花弁4枚と雄しべ4個、仮雄しべ4個があり、雌しべ花柱は2裂。萼片は暗紫色。

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左:花後に葉が展開する 右:樹皮
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Japanese common name : Atetu-mansak
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アテツマンサク(阿哲満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwi


マンサク(満作)
マンサク科マンサク属
学名:Hamamelis japonica Siebold et Zucc.
花期:2月~3月 落葉小高木 樹高:2~5m 花径:2~3cm

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【学名解説】
Hamamelis : hamos(似た)+melis(リンゴ)からの転用/マンサク属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz (Balthasar) von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Gerhard Zuccarini (1790-1848)
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シナマンサク(支那 満作)
mollis : 軟毛のある
Oliv. : Daniel Oliver (1830-1916)
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アテツマンサク(阿哲満作)
var. : varietas(変種)
bitchuensis : 備中(現岡山県西部)産の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
Ohwi : 大井次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)
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マルバマンサク(丸葉満作)
discolor : 2色の
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
Sugim. : 杉本順一 Jun'ichi Sugimoto (1901-1988)
f. : forma(品種)
obtusata : obtusatus(鈍頭の)
H.Ohba : 大場秀章 Hideaki Ohba (1943- )

撮影地:岩手県盛岡市
北松園緑地 カモシカ峠(植樹) 2018.03.24
[Location : Morioka City, Iwate Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 April 2018
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# by pianix | 2018-04-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)