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スズメノヤリ(雀の槍)
 スズメノヤリ(雀の槍)は、イグサ科スズメノヤリ属の多年草です。日本から東南アジア、東シベリアにかけて分布します。日本では全国に分布する在来種です。名の由来は、頭花の形状が大名行列で使われた毛槍に似る事から。毛槍は、先端に鳥毛の飾りをつけた儀仗用の槍で、大名行列の先頭などで振り歩く時に使われました。スズメは、小さなという意味。中国名は、地杨梅(di yáng méi)

 イグサ科(Juncaceae Juss. (1789))は、世界の寒帯から温帯に、7属約430種類が分布します。スズメノヤリ属(Luzula DC. (1805))は、世界の温帯から亜寒帯にかけて約80種が分布し、日本には約10種があります。

 日当たりの良い草地に生育します。地下茎は小さな塊状。この事からシバイモ(芝薯)の別名を持ちます。スズメノヒエ(雀の稗)はイネ科に異種同名があるため混同される恐れがあります。茎は1mm程で細く、叢生1)して草丈10~30cmになります。葉は根生葉で、長さ7~15cm、幅2~3mmの線形で扁平、葉の縁に白色の長軟毛が多生します。花茎に茎葉が2~3枚付きます。

 花期は、4月から5月頃。茎頂に赤褐色で卵球形の頭花を1個、まれに2~3個つけます。花被片は6枚あり、長さ2.5~3mmの長楕円状披針形で全縁、紫褐色。両性花で雌雄異熟花の雌性先熟2)です。雌しべは線形で、花柱先端を3裂させて柱頭となります。雄しべは6個で、短い花糸の先に2mm程の線状長楕円形で黄色の葯をつけます。風媒花。

 果実は朔果です。褐色をした倒卵形で花被片と同長の2.5~3mm。約1mmの種子が3個入っていて、白色の種沈(caruncle)が基部に付いています。この種沈はエライオソーム(Elaiosome)で、蟻を誘因する化学物質(脂肪酸、アミノ酸、糖)からなり、蟻によって運ばれて食べられ、残った種子が発芽する事で生息域を広げます。染色体(分散型動原体3))数は、2n=12。

 スズメノケヤリ(雀の毛槍)は、ワタスゲ(綿菅)4)の別名で本種とは異なります。よく似た種に、ヤマスズメノヒエ(山雀の稗)5)があり、近縁種として、オカスズメノヒエ(丘雀の稗)6)、ヌカボシソウ(糠星草)7)等があります。

脚注:
1)叢生(そうせい|簇生):群がり生えること。
2)雌性先熟 : 雌しべが先に熟して受粉し(雌性期)、後で雄しべが花粉の散布を行う(雄性期)。
3)高等真核生物の場合は通常、各染色体に1つずつ1次狭窄の位置に動原体をもっているが、次狭窄が存在せず、染色体全体が動原体として機能するものを分散型動原体(diffuse centromere)と言う。植物では、スゲ属、カヤツリグサ属、スズメノヤリ属、モウセンゴケ属、動物ではチョウやガ、カメムシにある。
4)ワタスゲ(綿菅) : カヤツリグサ科ワタスゲ属
学名 : Eriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) Á.Löve et D.Löve
5)ヤマスズメノヒエ(山雀の稗)Luzula multiflora Lej.
6)オカスズメノヒエ(丘雀の稗)Luzula pallidula Kirschner
7)ヌカボシソウ(糠星草)Luzula plumosa E.Mey.

Japanese common name : Suzume-no-yari
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Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
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日当たりの良い草地に叢生する。葉の縁の長い白毛が目立つ。2011.03.27

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雌性期。花被片の隙間から雌しべを出す。

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雄性期の始まり頃。花被片を広げて葯が伸びてくる。

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左:茎葉は2~3枚で茎を抱く。右:雌しべは細く柱頭は3裂。雄しべは太い黄色。

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果実は朔果。

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約1mmの種子が3個入っていて、白色の種沈(caruncle)が基部に付く。

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根生葉は、長さ7~15cm、幅2~3mmの線形。根はごく細い。


スズメノヤリ(雀の槍)
別名:シバイモ(芝薯)/スズメノヒエ(雀の稗)
イグサ科スズメノヤリ属
学名:Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
花期:4月~5月 多年草 草丈:10~30cm 頭花径:8~13mm 花径:4mm

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【学名解説】
Luzula : lux(光)縮小形/スズメノヤリ属
capitata : capitatus(頭状の・頭状花序の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
ex : ~による
Kom. : Vladimir Leontjevich Komarov (1869-1945)
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Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)
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ワタスゲ(綿菅)
Eriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) Á.Löve et D.Löve
Eriophorum : erion(軟毛)+phoros(身に着ける)
vaginatum : vaginatus(鞘になった)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
fauriei : Urban Jean Faurie (1847-1915)の
E.G.Camus : Edmond Gustav(e) Camus (1852-1915)
Á.Löve : Áskell Löve (1916-1994)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
D.Löve : Doris Benta Maria Löve (1918-2000)
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ヤマスズメノヒエ(山雀の稗)
multiflora : multi(多数の)+florus(花)
Ehrh. : Jakob Friedrich Ehrhart (1742-1795)
Lej. : Alexandre Louis Simon Lejeune (1779-1858)
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オカスズメノヒエ(丘雀の稗)
pallidula : pallidus(淡白色の)
Kirschner : Jan Kirschner (1955- )
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ヌカボシソウ(糠星草)
plumosa : plumosus(羽毛状の)
E.Mey. : Ernst Heinrich Friedrich Meyer (1791-1858)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川(河川敷・土手) 2006.4.18 - 2011.6.22. 2017.05.08
賤機山(Shizuhata-yama) 2018.04.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

14 August 2011, 8 May 2017
Last modified: 10 April 2018
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by pianix | 2011-08-14 00:00 | | Trackback | Comments(2)