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ハルジオン(春紫菀)
 ハルジオン(春紫菀)は、キク科ムカシヨモギ属の多年草です。北アメリカ原産で、日本の他、東アジアに分布します。1920年頃に園芸用途で渡来しました。その後の1950年代以降に逸出し、関東を中心に野生化し、勢力を拡大した帰化植物です。現在は全国に分布します。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、在来種で秋咲き種のシオン(紫菀)に似ていて春に咲く事から。同じく在来種のヒメシオン〈姫紫菀〉があるので、区別の為「ジオン」とされています。似ている花にヒメジョオン(姫女菀)Stenactis annuus (L.) Cass.がありますが、ヒメジョオン属で、属が異なります。これらが混同して紛らわしい呼び方が増えています。英名は、Phyladelphia fleabane。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。ムカシヨモギ属(Erigeron L. (1753))は世界で約250種あります。

 根が横に広がり、不定芽1)から発芽して繁茂します。花期にも根生葉が残ります。長楕円形またはヘラ形で翼のある葉柄があります。茎葉は無柄で、根生葉と同様に茎を抱きます。茎は灰白色の軟毛で覆われ直立します。これがムカシヨモギ属の学名(Erigeron=eri(早い)+geron(老人))の所以(ゆえん)です。茎の中身は中空で、ヒメジョオンのように髄がありません。従って、茎を切れば区別がつきます。感触に慣れれば、茎を押すだけで分かるようになります。中空の為、成長は極早く、草丈は30~80cm程になります。

 花期は4月から6月頃。蕾は淡紅紫色で、うな垂れ、開花時に上向きになります。頭花の直径は2~2.5cmで、中央の黄色い管状花と、周囲を取り巻く糸状になった舌状花の集合花です。これはキク科に多い特徴です。花色は個体によって淡紅紫色から白色までの濃淡があります。

 繁殖は根茎と種子によって行われます。虫媒花です。花粉は最大値で19.5×20μm程です。人によっては花粉症の原因ともなります。果実は痩果で、風・雨・動物・人間により散布されます。他の植物を排除するアレロパシー作用2)があります。この作用と、根からの繁殖が強い事と合わせて、農業では強雑草とされています。ロゼット3)で越冬します。染色体数は、2n=18。

1)不定芽(ふていが):
 側芽の生ずる箇所(定芽)以外の予期しない部分に生ずる芽(Adventitious bud)
2)アレロパシー(Allelopathy)作用:
 植物が放出する天然の化学物質(生理活性物質)が他の生物に、阻害的あるいは促進的(共栄的)な作用を及ぼすこと
3)ロゼット(Rosette):
 バラの花の形の事。「ロゼット葉」は地面に葉が広がり立ち上がらない状態を指す

Japanese common name : Haru-zion
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Erigeron philadelphicus L.
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花色は個体によって淡紅紫色から白色までの濃淡がある

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左:茎は中空。茎葉は無柄で茎を抱く。 右:根生葉


ハルジオン(春紫菀)
キク科ムカシヨモギ属
学名:Erigeron philadelphicus L.
花期:4月~6月 多年草 草丈:30~80cm 花径:2~2.5cm

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【学名解説】
Erigeron : eri(早い)+geron(老人)/ムカシヨモギ属
philadelphicus : 北米フィラデルフィアの
L. : Carl von Linne (1707-1778)

生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)
誤りやすい名前:ハルジョオン

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から7.50km 左岸河川敷 2006.04.25, 2006.04.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 April 2006
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by pianix | 2006-04-27 00:00 | | Trackback | Comments(3)
フキ(蕗)
 フキ(蕗)は、キク科フキ属の多年草です。日本を中心に、サハリン、朝鮮半島、中国に分布します。国内では本州から沖縄にかけて自生します。農作物として関東以西で多くが栽培されていて、愛知県と群馬県が産地として知られています。栽培作付面積は全国で700ha以上あります。北海道から東北北部に分布するのは、亜種のアキタブキ(秋田蕗)1)です。

 名前の由来は幾つかあります。古名のフフキ(布々岐)が、フユキ(冬葱)あるいはフユキ(冬黄)となり、それが転訛したもの説があります。淡い藍色を浅葱色と言い、冬の浅葱色した植物を指します。「拭き」が由来との説もあります。葉を拭く用途に使用した為です。本草和名(918年)ではカントウ(款冬)を、和名抄(932年)ではフキ(蕗)の漢字を充てています。蕗は路傍に生える草を表しています。中国では蜂斗菜(fēng dǒu yè)。英名は、Japanese Butterbur(日本蕗)。

  キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。フキ属(Petasites P.Miller (1754))は、北半球に約20種が分布します。

 フキは、草本植物としては数少ない雄雌異株です。白い花を咲かせるのは雌株、花粉で黄白色の花は雄株です。雄株の花茎は10~25cm程になり、雄株花序は密散房状で径7~10mmの頭花を多数付けます。頭花は筒状花です。苞に包まれた若い花茎と蕾の部分をフキノトウ(蕗の薹)と言い山菜として食用にします。花茎を鎮咳、解毒、健胃薬として用いる事もあります。雌株は、花後に50cm程になります。

 野生種は有性繁殖をする2倍体(2n=58)で、種子を作り、綿毛をつけた種子を飛ばします。栽培種は3倍体(2n=3x=87)であるので種子を作りません。品種改良は進んでいません。地下茎を伸ばし繁殖する栄養繁殖を行います。花後に地下茎から長い中空の葉柄がある腎円形の葉を出します。大きさは15~30cm程で、灰白色の綿毛があり、鋸歯があります。

☆  ☆  ☆

 ある季節になると特定の花が咲き出すと言うのは不思議ではありません。しかし、宇宙規模で見ると若干感覚が異なります。地球は秒速約30km(29.78km/s)で太陽の回りを公転しています。円周を考えると一日に凡そ1度移動する事になります。若干の楕円軌道であり、北半球の冬は太陽に一番近い距離に位置しています。近いのに冬とは意外な感じがされるかもしれませんが、地軸の傾きの影響によるものです。遠心力が強まり、公転速度が速まります。つまり、太陽と地球の位置関係が一定の所で花が咲くのです。これから古代の人たちは農作業の目安として暦を作り出しました。立春や啓蟄等の二十四節気は、この目安として使われています。

1)アキタブキ(秋田蕗)Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. subsp. giganteus (G.Nicholson) Kitam.

参考文献:栽培および野生フキの形態・生態ならびに細胞学的研究(第4報),染色体数について,今津正・藤下典之,園芸学会雑誌.第31巻第4号,p293-302

Japanese common name : Fuki
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Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim.

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フキノトウ(蕗の薹) 長い茎の先に一つ以上の蕾をつける


フキ(蕗)
キク科フキ属
学名:Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim.
花期:3月~5月 多年草 草丈:15~50cm 花径:7~10mm

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【学名解説】
Petasites : petasos(鍔広の帽子)/フキ属
japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
---
subsp. : subspecies(亜種)
giganteus : 巨大な
G.Nicholson : George Nicholson (1847-1908)
Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷 2006.03.15
自宅 2017.02.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 March 2006
Last modified: 20 February 2017
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by pianix | 2006-04-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハハコグサ(母子草)
 ハハコグサ(母子草)は、キク科ハハコグサ属の越年草です。中国、日本、東南アジア、インドに分布し、国内では全国に分布する史前帰化植物の在来種です。古くは、オギョウあるいはゴギョウと呼ばれ、春の七草の一つになっています。七草粥や草餅に利用されたようですが、現在ではヨモギが使われます。ハハコグサはホホケグサが訛った名であるとの説があります。冠毛がほおけ立つ(穂穂ける=毛羽立つ)事に由来します。それからすると、母子草との字を充てるのは適切でないようです。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。ハハコグサ属(Pseudognaphalium M.E. Kirpicznikov, in M.E. Kirpicznikov et L.A. Kuprijanova, 1950)は、世界に120種程が分布しています。

 茎や葉には白い綿毛が密生しています。葉は互生し、へら形で、ロゼット葉は花期にはありません。頭花は黄色で、管状花と糸状小花で構成される総苞の集まりです。ロゼットで越冬します。ロゼットとは、葉が放射状に根際から出ているものの事です。その一枚毎を根出葉あるいは根生葉、ロゼット葉と言います。染色体数は、2n=14。

 近縁種に、アキノハハコグサ(秋の母子草)がありますが絶滅危惧IB類(EN)です。また、チチコグサ(父子草)は、チチコグサ属の在来種で、頭花は茶色です。外来種のチチコグサモドキ(父子草擬き)も多く見られます。葉の裏が白いウラジロチチコグサ(裏白父子草)、花色が淡紅紫色のウスベニチチコグサ(薄紅父子草)も外来種です。また、ヤマハハコ属には、よく似た名のカワラハハコ(河原母子)があります。

Japanese common name : Hahako-gusa
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Pseudognaphalium affine (D.Don) Anderb.
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2006.05.06


ハハコグサ(母子草)
別名:ホウコグサ/オギョウ(御形)/ゴギョウ(御形)
キク科ハハコグサ属
学名:Pseudognaphalium affine (D.Don) Anderb.
synonym : Gnaphalium affine D. Don.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~30cm 花径:3mm(総苞)

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【学名解説】
Pseudognaphalium : pseudos(偽)+Gnaphalium(一握りの尨毛=獣の毛)/ハハコグサ属
affine : affinis(似た)
D. Don : David Don (1799-1841)
Anderb. : Arne A.Anderberg (1954- )

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.19
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.03.19, 2006.05.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 28 March 2006
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by pianix | 2006-03-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)
カントウタンポポ(関東蒲公英)
 タンポポの数を調べてみました。実施日は2006年2月21日。調査地は、安倍川河口から6.50km東岸近辺から東へ延びる小川の土手、車両の通行が禁止されている250m程度の区域です。観察は目視により、頭花数を数えました。総数は86で、内訳は在来種86、外来種0でした。在来種の内訳は、カントウタンポポ34、トウカイタンポポ33、シロバナタンポポ19です。

カントウタンポポ(関東蒲公英) Taraxacum platycarpum Dahlst.
oooooooooooooooooooooooooooooooooo[34]

トウカイタンポポ(東海蒲公英) Taraxacum platycarpum Dahlst. var. longeappendiculatum (Nakai) Morita
ooooooooooooooooooooooooooooooooo[33]

シロバナタンポポ(白花蒲公英) Taraxacum albidum Dahlst.
ooooooooooooooooooo[19]

 タンポポ属は日本で22種が自生します。カントウタンポポ(関東蒲公英)は、関東地方と東海地方東部に分布する在来種です。葉は根生し倒披針形で羽状に深く切れ込みます。総苞外片は反り返りません。総苞外片が内片の長さの1/2程になります。花弁は黄色で、径20~30mm程です。小花数は60前後です。

 染色体は二倍体(2n=2x=16)です。有性生殖であり、他家受粉を行います。強い自家不和合性(自分の花粉では種子を生産しない)があります。従って、同種が群れて咲く必要性があります。虫媒花であり、媒介動物はハナアブやハチです。花色に黄色や白が多いのは、ハナアブが見えやすい色である為と言われています。20度以上になると発芽しない夏期高温休眠性があり、夏は休眠し、地上部は枯れます。発芽後、2~3年を経て開花に至ります。在来種は水分や栄養の多い土を必要とします。

参考:セイヨウタンポポ(西洋蒲公英) シロバナタンポポ(白花蒲公英) トウカイタンポポ(東海蒲公英)

Japanese common name : Kantou-tanpopo
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Taraxacum platycarpum Dahlst.
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カントウタンポポ(関東蒲公英)
別名:アズマタンポポ(東蒲公英)
キク科タンポポ属
学名:Taraxacum platycarpum Dahlst.
synonym : Taraxacum sendaicum Kitam.
花期:3月~6月 多年草 草丈:10~25cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Taraxacum : tharakhchakon(苦い草)の変形/タンポポ属
platycarpum : platycarpus(平ったい果の・大きな果実の)
Dahlst. : Hugo Gustav Adolf Dahlstedt (1856-1934)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.50km 左岸土手 2006.02.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 February 2006
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by pianix | 2006-02-21 00:00 | | Trackback | Comments(3)
ノボロギク(野襤褸菊)
 ノボロギク(野襤褸菊)は、キク科キオン属の1年草です。ヨーロッパ原産で、アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニアに分布します。日本へは明治のはじめ頃(1887年)に侵入した非意図的移入の帰化植物です。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。Compositae Giseke, 1792は保留名。キオン(黄苑)属(Senecio L. (1753))は、世界に約2000種が分布します。日本全国に分布し、10種以上が自生します。

 キオン属全種は、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で、種類名証明書の添付が必要な生物に加えられています。在来種と競合しています。

 花後に白い綿毛がつくのを襤褸(ぼろ)に例えた名前です。ボロギク(襤褸菊)はサワギク(沢菊)の別名で、野に咲くサワギクに似たとの意味で名が付けられました。属名のSenecioも、綿毛を「老人」に例えたものです。繁殖力が強く、暖地では通年花を付けます。茎は多数に枝分かれし、中空です。葉は互生し、長倒卵形で、不規則な羽状の切れ込みがあります。濃緑色で光沢があります。

 花は黄色で、5mm程の管状花を付けます。蕾状のままで、平開することはありません。総苞の基部に、二等辺三角形状をした黒色の小苞片があり、目立ちます。綿毛のある痩果を付け、自家受粉します。家畜に有毒な物質を含みます。肝毒性や発がん性を有するピロリジジン・アルカロイド(pyrrolizidine alkaloids)を含んでいます。これはキオン属の植物全般に言えます。染色体数は2n=40。

参考:ベニバナボロギク(紅花襤褸菊)

Japanese common name : Noboro-giku
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Senecio vulgaris L.
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ノボロギク(野襤褸菊)
キク科キオン属
学名:Senecio vulgaris L.
花期:1月~12月 1年草 草丈:10~30cm 花径:5mm

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【学名解説】
Senecio : senex(老人)に由来/キオン属
vulgaris : 普通の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷 2005.11.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 February 2006
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by pianix | 2006-02-16 00:00 | | Trackback | Comments(4)
トウカイタンポポ(東海蒲公英)
 トウカイタンポポ(東海蒲公英)は、キク科タンポポ属の多年草です。千葉県以西の東海地方の太平洋沿岸側に分布する在来種です。名の由来は、生育地方名を冠したタンポポ。別名のヒロハタンポポ(広葉蒲公英)は、葉幅が広い事に由来します。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。タンポポ属(Taraxacum F.H.Wigg. (1780))は世界に約400種類、細分して約2000種ほどあり、日本には約22種が野生しています。それらは大きく在来種と外来種に分けられます。

 トウカイタンポポは総苞外片が内片の長さの2/3程あり、カントウタンポポ(関東蒲公英)の1/2位よりも長めです。カントウタンポポの突起は小型ですが、トウカイタンポポは著しい突起があります。セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)のように総苞外片は反り返らず、密着しています。染色体は二倍体(2n=2x=16)で、有性生殖を行います(在来平地性二倍体種)。虫媒によって他家受粉を行う必要があるので、繁殖には豊かな自然環境が必要です。自家受粉はしない仕組みになっています(自家不和合性)。セイヨウタンポポと異なり、種子は秋に芽生えます。

 羽状に浅く裂けた根生葉の間から花茎を伸ばします。花茎には軟毛があります。茎から出る乳汁はイヌリン(Inulin・多糖類の一種)です。頭状花を1つを付けます。花色は黄色で、舌状花(花弁が筒状となり上部が平らで舌のような形をした花)が多数付きます。朝に開花し夕方に閉じる動作を数日続けます。最近はセイヨウタンポポとの雑種である中間種が多くなってきています。

★ ★ ★

 「名もない雑草」とは文学的表現で使われますが、植物分類学的に言えば発見者が名を付けることになるので、興味深い研究対象に早変わりです。「世界に一つだけの花」という言葉は観念的な表現であることを承知の上で、ひねくれた言い方をすれば、絶滅危惧種です。そして、ありふれた野草の一つであるタンポポは、実は素人の研究の域を超える難しい問題をはらんでいます。このブログでは表面的な事柄しか扱っていません。もし興味がおありでしたら、是非ともたくさんの論文をお読みになり、深く観察して新たな局面を開く研究をして頂きたいと思います。

 植物分類学は、ディオスコリデス(Pedanius Dioscorides, c.40-90 AD)の著した薬草誌「De Materia Medica」が最初と言われています。現在の植物分類学が確定したのはリンネ(Carl von Linne, 1707-1778)によります。その流れは人類の初穂であるアダムから連綿と受け継がれています。『主なる神は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人のところへ持って来て、人がそれぞれをどう呼ぶか見ておられた。人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった。人はあらゆる家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名を付けたが、自分に合う助ける者は見つけることができなかった。』創世記2章19~20節(新共同訳聖書)。

早春の野草・その3

参考:セイヨウタンポポ(西洋蒲公英) シロバナタンポポ(白花蒲公英) カントウタンポポ(関東蒲公英) 

Japanese common name : Toukai-tanpopo
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Taraxacum platycarpum Dahlst. var. longeappendiculatum (Nakai) Morita
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種子
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トウカイタンポポ(東海蒲公英)
別名:ヒロハタンポポ(広葉蒲公英)
キク科タンポポ属
学名:Taraxacum platycarpum Dahlst. var. longeappendiculatum (Nakai) Morita
synonym : Taraxacum longeappendiculatum Nakai
花期:2月~5月 多年草 草丈:10~30cm 花径:35~45mm

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【学名解説】
Taraxacum : tharakhchakon(苦い草)の変形/タンポポ属
platycarpum : platycarpus(平ったい果の・大きな果実の)
Dahlst. : Hugo Gustav Adolf Dahlstedt (1856-1934)
var. : varietas(変種)
longeappendiculatum : longe(長い)+appendiculatus(附属物のある)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.02.07, 2016.04.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 09 February 2006
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by pianix | 2006-02-09 00:00 | | Trackback | Comments(0)
セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
 タンポポは大きく外来種と在来種に分けられます。外来種優勢と言われる中で、安倍川河川敷には在来種がたくさん咲きます。あるところで籾殻(もみがら)を敷き詰めた場所があり、タンポポが花を咲かせていました。外来種のセイヨウタンポポ(西洋蒲公英)ですが、その萼片が作り物のように整然としていたので鳥肌が立ちました。葉は、籾殻の中に埋まったままでした。

☆  ☆  ☆

 セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)は、キク科タンポポ属の多年草です。ヨーロッパ原産で、世界各地に進出している世界種(cosmopolitan species)です。明治時代に北海道の宣教師が野菜として栽培したものが逸出して野生化した、逸出帰化植物と言われています。北ヨーロッパでは春の貴重な野菜として栽培され、花が咲く前の葉を食用とします。日本では全国に分布します。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種、日本には約70属360種が分布する巨大な分類群です。タンポポ属(Taraxacum F.H.Wiggers, 1780)は、日本に約22種、世界に400種程があります。

 和名の蒲公英は、タンポポとは読めません。漢名を充てたものだからです。ホコウエイと読む場合は、生薬名としてがほとんどです。名の由来は幾つかあります。綿毛が用具のタンポ(綿を布で包んだもの)に似ているからとか、頭花を鼓に見立てて叩く音に例えたとか数種あります。数が多いのは、どれも有力な根拠を持たないからです。

 総包は頭状花の基部にあり、全体を包むような構造物を指します。外側から順に、総包外片、角状突起、総包内片があります。一般的に、総包外片が反っているものをセイヨウタンポポとしています。実際には遺伝の攪乱があり、判別しにくいものが出現しています。花は黄色の舌状花が多数付く頭状花序で、下から子房、冠毛があり、雌しべには先が丸まった柱頭があります。種子には冠毛が付きます。大型の冠毛で、種子を広く散布するのに在来種より有利とされています。種子の色は灰褐色です。赤みを帯びるものはアカミタンポポ(赤実蒲公英)Taraxacum laevigatum DC.として区別されています。

 セイヨウタンポポとアカミタンポポは共に染色体が3倍体(2n=3x=24)の単為生殖(受粉無しに種子を作る)ですが、ごく稀に、1~2倍体を持つものが現れます。正常な花粉を作りだし、これが在来種と交雑する事になります。在来種に外来種の遺伝子を持つ種子を作らせる事から、盗賊種(Compilospecies)とも言います。

 多数の根出葉を出します。葉は倒披針形で、縁が深く羽状に切れ込みます。英語では、この様子を例えて、タンポポのことをDandelion(Dande=歯、lion=ライオン)と言います。長さは8~13cm程になります。茎は中空で、傷つけると乳液が出ます。根はローストして珈琲の代用品、花はワインの原材料、葉は野菜として利用されます。

参考:セイヨウタンポポ(西洋蒲公英) シロバナタンポポ(白花蒲公英) トウカイタンポポ(東海蒲公英)

Japanese common name : Seiyou-tanpopo
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Taraxacum officinale Weber ex F.H.Wigg.


セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
キク科タンポポ属
学名:Taraxacum officinale Weber ex F.H.Wigg.
花期:4月~6月/9月~11月 多年草 草丈:30~40cm 花径:35~50mm

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【学名解説】
Taraxacum : tharakhchakon | talkh chakok(苦い草)/タンポポ属
officinale : officinalis(薬用の・薬効のある)
Weber : Georg Heinrich Weber (1752-1828)
ex : ~による
F.H.Wigg. : Friedrich Heinrich Wiggers (1746-1811)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から14.75km (足久保) 2006.01.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 8 February 2006
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by pianix | 2006-02-08 00:00 | | Trackback | Comments(5)
1月のクイズ
 次の花の名前を当てて下さい。花好きな人には簡単すぎるかもしれません。

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1回目の写真です
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2回目の写真です


 【ヒント】(1) ニチニチソウ(日々草)ではありません。(2) センニチコウ(千日紅)ではありません。

 お分かりのかたは、最下段の「Comments」をクリックして、コメント欄でお答え下さい。分からなかったかたは「分からない」とお答え下さい。簡単すぎると思われた方は、花の名前は書かずに、それにまつわる話でもお書き下さい。賞品は出ません(もしかしてその内に用意するかもしれませんが……)。

答えは、ヒャクニチソウ(百日草)でした。コメントを頂いた方々にお礼を申し上げます。

Japanese common name : Hyakuniti-sou
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Zinnia elegans Jacq.


ヒャクニチソウ(百日草)
別名:ジニア(Zinnia)
キク科ヒャクニチソウ属
学名:Zinnia elegans Jacq.
花期:8月~10月 1年草 草丈20~40cm 花径:4~5cm

【学名解説】
Zinnia : Johann Gottfried Zinn (1727-1759)に因む/ヒャクニチソウ属
elegans : 優美な・風雅な
Jacq. : Nicolaus Joseph von Jacquin (1727-1817)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 左岸河川敷(植栽) 2005.10.19
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Last modified: 31 January 2006
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by pianix | 2006-01-31 00:00 | クイズ | Trackback | Comments(10)
ノゲシ(野芥子)
 ノゲシ(野芥子)は、キク科ノゲシ属の2年草(越年草)です。ヨーロッパ原産で、中国経由で日本に入ってきたと言われている史前帰化植物です。世界中で見られる世界種で、日本でも全国に分布します。双子葉植物綱合弁花亜綱のキク科植物です。ロゼットで越冬し春以降に開花する越年草ですが、冬でも開花する事があります。温暖地では通年見られます。葉がケシ科のケシ(芥子)に似ている事から名が付けられました。ハルノノゲシ(春の野芥子)は、秋に開花するアキノノゲシ(秋の野芥子)に対する別名です。ノゲシ属やアキノノゲシ属は食用にもなりますが、日本では馴染みが薄いようです。

 葉は全体に柔らかく、下部は長い葉柄があり、羽状に裂けます(大根の葉に似ている)。上部は茎を抱き、刺状の粗い距歯がありますが、オニノゲシ(鬼野芥子)のような硬い棘はありません。花は、黄色の舌状花からなる頭花を持ち、タンポポに似ています。熟すと総苞が反り返り、球状の綿毛になります。果実は褐色の痩果で、白い冠毛があり、果体に直接付きます。長い柄の先につくタンポポと異なるところです。茎は中空で、傷つけると乳液が出ます。ケシの場合は、乳液を乾燥させ黒褐色になったものが阿片(Opium)となります。ノゲシの場合は当然の事ながら麻薬性はありません。

 このノゲシは、崖下の小川のほとりに咲いていました。撮影しようか迷ったのは、登って戻れるか不安だったからです。少し滑れば、冷たい水に浸かる事になります。結局は、あまりにも気持ちよさそうに咲いていたので降りてしまったわけです。勿忘草だったら流されてもロマンチックかもしれません。土手で滑り落ちるのは慣れていますが、先日は恥ずかしい思いをしました。絶好調の二十?肩を強打し、「再起不能」とつぶやき、「まだまだ~」と威勢良く起きあがったら、遠くで一部始終を見ていた人がいたのです。

参考:ホソバアキノノゲシ(細葉秋の野芥子)

Japanese common name : Nogesi
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Sonchus oleraceus L.


ノゲシ(野芥子)
別名:ハルノノゲシ(春の野芥子)
キク科ノゲシ属
学名:Sonchus oleraceus L.
花期:4月~8月 2年草(越年草) 草丈:50~100cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Sonchus : アザミなどを一括したギリシャ古名/ノゲシ属
oleraceus : 食用蔬菜の・畑に栽培の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2006.01.10
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12 January 2006
Last modified: June 11, 2008
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by pianix | 2006-01-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オオジシバリ(大地縛)
 オオジシバリ(大地縛)は、キク科ノニガナ属の多年草です。イワニガナ(岩苦菜)の別名であるジシバリ(地縛り)よりも大型である事から名付けられました。それからするとオオイワニガナとなるはずですが、そうなってはいません。走出枝(ランナー)を出し、地面を縛るように生える事から地縛の名が付いています。別名はツルニガナです。イワニガナが乾燥したところに多い事に対し、オオジシバリは、やや湿り気の多いところに生育するようです。本来は春の花ですが、温暖な地方では初冬から開花します。種子と地下茎で繁殖します。染色体数は、2n=48。

 葉の形が違う事で区別ができます。このオオジシバリの葉は、先端が尖り気味のヘラ型(倒披針形から、ヘラ状楕円形)ですが、イワニガナは丸みを帯びたスプーン型です。どちらも柄があり、鋸歯がない全縁ですが、オオジシバリは羽状に切れ込む場合があります。茎や葉を傷つけると乳液を出します。民間療法の生薬「剪刀股(せんとうこ)」として、健胃・消炎・鼻づまりに使われます。

★  ★  ★

 夢を語ると言うと、通常は自分に内在する抱負や希望を話す事になります。古来は、言葉の通りに自分が見た夢を語る意味で、シャーマン的な行為を指す事になります。脳の不思議な働きで潜在意識が夢に現れますが、それを伝えるわけです。先日は、この花は何科で何属かという夢を見ました。それはそれは恐ろしく疲れるものでした。何も分からずに焦っている自分がいました。別名も混乱する時があります。

 王子縛ってどうするの?(王子縛り)と笑い話になりますが、「おおじ」と「おうじ」の聞き間違えも起きそうですね。

Japanese common name :Oo-jisibari
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Ixeris japonica (Burm.f.) Nakai


オオジシバリ(大地縛)
別名:ツルニガナ(蔓苦菜)
キク科ノニガナ属
学名:Ixeris japonica (Burm.f.) Nakai
synonym : Ixeris debilis A. Gray
花期:4月~6月 多年草 草丈:10~30cm 花径:25~30mm

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【学名解説】
Ixeris : 語源不明/ノニガナ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Burm.f. : Nicolaas Laurens (Nicolaus Laurent) Burman (1734-1793)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
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debilis : 弱小な・軟弱な・脆弱な
A. Gray : Asa Gray (1810-1888)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.0km 右岸河川敷 2005.12.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 11, 2008
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by pianix | 2005-12-29 00:00 | | Trackback(1) | Comments(3)