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オオミスミソウ(大三角草)
 オオミスミソウ(大三角草)は、キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草です。北半球温帯(ヨーロッパ、ロシア、中国、朝鮮半島、日本、北米)に分布し、日本では北陸地方の日本海側に分布します。ミスミソウの品種で日本固有変種です。岩手県では、絶滅危惧II類。名の由来は、ミスミソウより大型である事から。ミスミソウは、葉が三角状である事から。葉先が丸いものをスハマソウ(州浜草)と言います。

 キンポウゲ科(Ranunculaceae Juss. (1789))は、世界に62属2500種が分布します。日本には22属149種が分布します、日本固有種は、1属80種(9亜種26変種)があるとされています。ミスミソウ属(Hepatica P. Miller (1754))は、温帯に約9種が分布します。日本には2変種3品種があるとされています。

 低山の落葉広葉樹林や、その斜面等に自生します。葉は根生し、10cm程の葉柄を出します。三角状で3浅裂し、基部が心形で、裂片は全縁で鋭頭か鈍頭。革質で光沢があり、長さ5~6cm、幅6~8m。根生葉の葉腋から白色の長毛がある花柄を出します。草丈は10~20cm。

 花期は、3月から4月。花は茎頂に単生します。花弁は無く、花弁状の萼片が6~10個あります。裂片は卵状披針形から線状披針形で、長さ11~15mm、幅3~6mm。花径は2~3cm。両性花。 雄しべと雌しべは多数あります。萼片に見えるのは総苞片で3枚が輪生します。

 交雑しやすい事から花色の変異が大きく、白色、淡紅色、赤紫色、青色等があり、葯色も白色から淡紅色と多彩です。園芸種も多くあり、雪割草の名で出回っています。花後に花柄を下に向けます。果実は痩果です。総苞片に囲まれて残存花柱がある集合果となります。染色体数は、2n=141)

 本州中部以西、四国、九州に分布し、染色体数が2n=14のミスミソウ(三角草)2)、花色が黄色のエチゼンミスミソウ(越前三角草)3)[福井県県域絶滅危惧I類]、東北から関東の太平洋側に分布するスハマソウ(州浜草)4)があります。近畿以西と四国に分布し、染色体数が4倍体の2n=28, 42で、葉の両面に白毛があるケスハマソウ(毛州浜草)5)があります。それぞれは、一般的に言われている分布域だけでは判別できない事があり、形状も中間型があるなど、注意を要します。

脚注:
1)Nuclear DNA amounts in angiosperms: targets, trends and tomorrow - Annals of Botany Page 1 of 124
2)ミスミソウ(三角草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. japonica (Nakai) Yonek.
3)エチゼンミスミソウ(越前三角草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. lutea Kadota
4)スハマソウ(州浜草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. variegata (Makino) Nakai
5)ケスハマソウ(毛州浜草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. pubescens (M.Hiroe) Kadota

Japanese common name : Oo-misumi-sou
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Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. magna (M.Hiroe) Kitam.

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葉は3浅裂し、基部が心形。花柄に白色の長毛がある。

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萼片に見えるのは総苞片で3枚。花後に花茎は下向く。花弁に見えるのは萼片。


オオミスミソウ(大三角草)
別名:雪割草
キンポウゲ科ミスミソウ属
学名:Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. magna (M.Hiroe) Kitam.
花期:3月~4月 多年草 草丈:10~20cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Hepatica : hepaticus(肝臓)/ミスミソウ属
nobilis : nobilius(より気高い)
Schreb. : Johann Christian Daniel von Schreber (1739-1810)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
f. : forma(品種)
magna : magnus(大きい)
M.Hiroe : 廣江美之助 Minosuke Hiroe (1914-2000)
Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002)
---
Yonek. : 米倉浩司 Koji Yonekura (1970- ) Tohoku University
lutea : luteus(黄色の)
Kadota : 門田裕一 Yuichi Kadota (1949- )
variegata : variegatus(斑紋がある)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
pubescens : 細軟毛がある

撮影地:岩手県盛岡市
新庄字下八木田 2018.03.25
[Location : Morioka City, Iwate Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 June 2018
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by pianix | 2018-06-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
スイフヨウ(酔芙蓉)
 スイフヨウ(酔芙蓉)は、アオイ科フヨウ属の落葉低木です。日本、中国、台湾に分布します。日本では、沖縄、九州・四国に自生します。栽培種として観賞用に関東地方以西に分布します。名の由来は、中国名の木芙蓉(mù fú róng)の略名。中国での芙蓉は、ハスのことで、フヨウがハスの花に似ていることから。スイフヨウは、フヨウの花色が変化する様子を酒に酔った顔色に例えたもの。中国名は、醉芙蓉(zuì fú róng)。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(APG)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属、約1500種でした。フヨウ属(Hibiscus L. (1753))は、約250種が分布します。

 フヨウの1品種として栽培されています。耐寒性がやや弱く、四国・九州・沖縄で自生、暖地で路地植えが可能です。樹高は、150~300cm。葉柄は長さ5~12cm。葉は、互生します。先が浅く3~7裂した五角形状で、基部は心形。長さ幅共に、10~20cm。冬に落葉します。葉や葉柄、萼と副萼片、果実には星状毛と腺毛があります。

 花期は、7月から10月。萼は5裂し、副萼片は線形で10個。花冠は基部で合着し、花径は10~15cm。雄しべが花弁化する八重咲きがほとんどですが一重や半八重もあります。咲き始めは白色で、夕方には紅色へと変化します。1日花です。

 色の変化は、アントシアニン1)(シアニジン-3-サンブビオシド2)、シアニジン-3-グルコシド3))によります。低温下での生合成は弱く、気温25℃以上で進みます。アントシアニン合成酵素のメッセンジャーmRNA 4)の発現量が増加し、アントシアニン色素が花弁液胞内に蓄積して赤色になっていきます5)。紫外線の影響ではありません。

 果実は蒴果です。球形で径25~27mm、裂開して径約32mm。子房上位で5室があります。種子は腎臓形で長さ約2~3mm。背面に長い剛毛があります。八重咲き種は不稔性です。よって繁殖は、挿し木が一般的です。

脚注:
1)Anthocyanin : 植物色素アントシアン(Anthocyan)の一つ。酸性で紅色、アルカリ性で青色にな る。
2)Cyanidin 3-sambubioside(C26H29O15)
3)Cyanidin 3-glucoside(Cl C21H21O11)
4)messenger RNA : 伝令RNA。DNAの遺伝情報を写しとって伝えるRNA(Ribonucleic acid)で、タンパク質合成させる機能をもつ。
5)花色変化メカニズムに関する研究(第3報)—スイフヨウ—(奥尚枝、三島鮎美、石黒京子)武庫川女大薬学部 : 日本薬学会年会要旨集(2011.03.05)

Japanese common name : Sui-fuyou
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Hibiscus mutabilis L. 'Versicolor'

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左:葉は3~7浅裂した掌状。花色が赤に変わっていく<2017.10.11> 右:幹

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果実は蒴果。星状毛と腺毛で覆われている。縦に5裂して多数の種子を出す。

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種子は腎臓形で、背面に長毛がある。


スイフヨウ(酔芙蓉)
アオイ科フヨウ属
学名:Hibiscus mutabilis L. 'Versicolor'
花期:7月~10月 落葉低木 樹高:150~300cm 花径:10~15cm 果期:10月

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古代ギリシャ及びラテン古名/フヨウ属
mutabilis : 変化しやすい、不安定な、色々に変わる
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Versicolor : 斑入り、変色、種々の色のある

撮影地:静岡県静岡市
賤機山 2017.10.11, 2017.11.27, 2017.12.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 December 2017
Last modified: 20 January 2018
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by pianix | 2017-12-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
トケイソウ(時計草)
 トケイソウ(時計草)は、トケイソウ科トケイソウ属の常緑多年草です。アメリカの熱帯・亜熱帯域(ペルーやブラジル)が原産です。日本には江戸時代の1923(大正12)年にオランダから渡来しました。花は、見方によって異なる名称になります。英名は、Passion Flower(パッションフラワー)。Passionはキリストの受難を意味します。命名は南米旅行中の宣教師。その目には、花の形が「十字架にかかったキリストの姿」に見えたようです。中央の3裂した雌しべ柱頭が釘、その下の葯が5ヶ所の傷、副花冠が茨の冠、萼と花弁が10人の使徒、巻きヒゲと葉を迫害者の鞭と言われています。日本では、3裂した雌しべを長針・短針・秒針、花被片を文字盤として時計に見立てました。

 トケイソウ科(Passifloraceae Juss. ex Roussel, 1806)は、アメリカ熱帯とアフリカを中心に約18属550種があり、トケイソウ属(Passiflora L. (1753))は南米を中心に400種以上があります。

 地下茎によって繁殖します。茎は細く蔓状で、巻きヒゲで絡みついて伸びます。葉は互生し、葉柄があり全縁です。長さは3~6cmで、掌状に5~9深裂します。基部に托葉があります。花期は6月から8月頃。葉腋から長い花柄を出し、7~10cmの花冠を午前中に10分前後で開花します。花冠の下には3枚の包葉があります。

 離弁花で、花冠は径7~10cmで平開します。計10枚の花被片があり、同じ色と長楕円形の萼片と花弁が5枚づつ2裂に交差する構造をしています。糸状で重層に多数平開するのは副花冠です。雄しべは5本。雄しべの上に子房がある子房上位です。雌しべ花柱は3本あり、柱頭は膨らみます。果実は液果で、黄色で3cm程の楕円形になります。耐寒性があり、温暖な地方では路地植が可能です。

Japanese common name : Tokei-sou
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Passiflora caerulea L.
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トケイソウの仲間は多くあり、色も多様


トケイソウ(時計草)
別名:パッション・フラワー(Passion Flower)/ボロンカズラ(ボロン葛)
トケイソウ科トケイソウ属
学名:Passiflora caerulea L.
花期:6月~8月 常緑多年草 草丈:(蔓性~6m) 花径:7~10cm

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【学名解説】
Passiflora : flor della passione(情熱の花)/トケイソウ属
caerulea : caeruleus(青色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区桜町(植栽) 2005.05.18
駿河区中田本町(植栽)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 8 July 2006
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by pianix | 2006-07-08 00:00 | | Trackback | Comments(2)
スイカズラ(吸葛)
 スイカズラ(吸葛)は、スイカズラ科スイカズラ属の蔓性低木です。日本・韓国・中国が原産で、アメリカやヨーロッパにも帰化しています。国内では北海道南部・本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、花筒の蜜を吸うと甘いや、花弁の形が吸っている唇に似るから、化膿部の吸い出しに用いられた事から、と諸説あります。蜜を吸う事に由来すると言うのが一般的な解釈で、葛は蔓性植物の総称です。別名のキンギンカ(金銀花)は、花色の変化を金と銀色に例えたものです。ニンドウ(忍冬)は、耐寒性があり冬でも葉が残る事からです。生薬名としての呼び名でもあり、花や蕾は金銀花、茎や葉を忍冬と区別します。英名は、japanese honeysuckle。

 スイカズラ科(Caprifoliaceae Juss. (1789))は、北半球に18属500種が分布します。スイカズラ属(Lonicera L. (1753))は、北半球に約180種が分布し、日本には21種が自生します。

 茎は蔓性で、他の植物などに巻き付いて伸びます。巻き方向は左右両方です。巻き付く物がないと地を這います。樹皮は灰褐色で、若枝には毛が密生します。葉は対生します。長さ25~80mm、幅7~30mmの長楕円形で全縁、先は鈍頭。両面有毛で、表面は緑色、裏面は淡白緑色で、4~5対の側脈があります。季節による変異があり、春には羽状に深裂するものが出ます。

 花期は5月から6月頃。枝の葉腋から短枝を出し、2唇形の筒状花を2個並んでつけます。長さ3~4cmで、花冠の外面には軟毛があります。先端から半分が唇状となり、上弁1、下弁2に分かれます。花弁は反り返り、上弁の先端は浅く4裂します。初めは白色で、受粉後に黄変します。萼は子房と合着します。雄しべは5本、花柱は1本あります。染色体数は、2n=18。

 主な花粉媒介動物(ポリネーター|pollinator)はスズメガとマルハナバチです。果実は液果で、径5~7mmの広楕円形。熟すと黒褐色になります。帰化先の欧米ではクズ(葛)と同様に、蔓性の対抗植物が少ない事から、森林や畑で野生化し有害植物となっています。

Japanese common name : Sui-kazura
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Lonicera japonica Thunb.

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スイカズラ(吸葛)
別名:キンギンカ(金銀花)
スイカズラ科スイカズラ属
学名:Lonicera japonica Thunb.
花期:5月~6月 蔓性低木 樹高:2~3m 花径:3~4cm 果期:9~12月

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【学名解説】
Lonicera : Adam Lonitzer (1528-1586)のラテン名Lonicerusに因む/スイカズラ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.5km 右岸河川敷 2006.05.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 8 June 2006
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by pianix | 2006-06-08 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヤグルマギク(矢車菊)
 ヤグルマギク(矢車菊)は、キク科ヤグルマギク属の1年草(越年草)です。ヨーロッパ東南部から西アジアが原産です。日本には明治初期から中期に渡来したと言われていますが、詳細は不明です。名の由来は、花の切れ込み形状を矢車に見立てたもの。このヤグルマギクは、古代エジプト第18王朝のファラオであるツタンカーメン(Tut-ankh-amen, BC.1342-1324ca.)の墳墓前室に置かれていた事でも知られています。矢車を冠した名には、ユキノシタ科のヤグルマソウ(矢車草)があり、こちらは葉を例えています。英名は、Cornflower。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。ヤグルマギク属(Cyanus)、旧ケンタウレア属(Centaurea L. (1753))は、地中海と中東に約450~600種が分布します。

 茎は下部で分枝し、綿毛が密生します。葉は互生し、柄は無く、長さ5~10cm。茎葉の下部は倒卵形の浅裂した羽状で、上部は長い線形です。花期は4月~6月。茎頂に3~5cmの頭花を単生します。筒状花で構成されています。周辺の長い筒状花は雌性で中心部の短い筒状花は両性です。総苞は1~2cmの壷形で、総苞片には鋸歯があります。基本種の花色は種小名cyanusに採用されている藍色(濃青紫色)です。他に、園芸種として透明感がある白・赤・桃等があります。果実は痩果です。白い冠毛があります。本種は、蜜源植物・染料物質・青インク原料・薬用植物(利尿・胆汁排出剤)として用いられてきました。染色体数は、2n=24。

 ヤグルマギクの花色である青色については、90年の長期に渡って研究がされてきました。1913年にドイツの化学者がヤグルマギクの青色素がアントシアニン(anthocyanin)である事を明らかにし、それによって1915年にはpH説が提唱されました。また、補助色素が関与するという1932年のコピグメント(copigment)説、1970年代以降には分子会合説が唱えられました。これに対して1919年、日本の植物生理学者の柴田桂太博士が金属錯体説を提唱しました。この証明は2005年、東京学芸大の武田幸作名誉教授、九州大学理学部の塩野正明博士、KEK放射光科学研究施設の松垣直宏博士らによって成功しました。ヤグルマギクの色素1)は、単独では赤いシアニジン(cyanidin)型アントシアニンに、鉄・マグネシウム・カルシウムの3種類の金属イオンと、フラボン(flavon)と呼ばれる有機物が結合した複雑な構造である事が解明されました。

1)"Structure of the blue cornflower pigment. Packaging red-rose anthocyanin as part of a 'superpigment' in another flower turns it brilliant blue."Vol. 436 P. 791 August 11, 2005

Japanese common name : Yaguruma-giku
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Cyanus segetum Hill

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左:壷形の総苞  右:綿毛が密生する茎と葉

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白花。赤や桃色などがある。


ヤグルマギク(矢車菊)
キク科ヤグルマギク属
学名:Cyanus segetum Hill
synonym : Centaurea cyanus L.
花期:4月~6月 1年草(越年草) 草丈:30~70cm 花径:3~5cm

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【学名解説】
cyanus : 藍色の/ヤグルマギク属
segetum : 畑の
Hill : John Hill (1716-1775)
---
Centaurea : 古植物名centaurie|ギリシャ神話の怪物Centaur/ヤグルマギク属
cyanus : 藍色の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区賎機(植栽) 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

7 June 2006, 11 August 2012
Last modified: 29 August 2016
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by pianix | 2006-06-07 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハコネウツギ(箱根空木)
 ハコネウツギ(箱根空木)は、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木です。日本原産の在来種で、北海道南部から九州にかけての沿岸部に分布が見られます。その内で特に静岡県に多いとされています。本来の自生分布地の特定は困難のようです。名の由来は、産地と思われていた箱根を冠するウツギ(空木)から。実際には箱根の地名は誤認命名によるものです。ウツギの名は、茎が中空である事から。ちなみに、ウツギはユキノシタ科で、本種はスイカズラ科です。

 スイカズラ科(Caprifoliaceae Juss. (1789))は、北半球の温帯を主に約17属500種が分布します。タニウツギ属(Weigela Thunberg, 1780)は、北アメリカ・中国・朝鮮半島・日本に12種が分布し、日本には10種が自生します。

 樹高は、2~4mになります。枝の樹皮は灰黒色。葉は対生します。単鋸歯がある楕円形あるいは倒卵形で先端は尖鋭形、長さ5~15cm、幅は3~6cmです。8~15mmの葉柄があり、基部は広いくさび形。表は深緑色で裏は青味を帯び、ほぼ無毛ですが葉裏の脈には毛があります。

 花期は5月から6月頃。枝先や葉腋に集散花序を出し、2~8輪の花をつけます。鐘形漏斗状の花冠で、先端が5裂した合弁花です。長さ25~42mm、幅は23~33mm。初めは白色ですが淡紅から紅紫色に変化します。萼片は5個あり、長さ8~20mm、幅0.8~2.2mmの線状。長さ7~13mmの雄しべが5本、長さ23~30mmの雌しべ1本があります。果実は長さ2~3cmの朔果で、1.5mm程の種子は卵形で狭い翼があります。

 タニウツギ属植物の花弁にはアントシアニン(anthocyanin)と、フラボノイド(flavonoid)が含まれます(Chang, 1997)。ハコネウツギにおいては、アントシアニン量が開花後の花弁で経時的に著しく増加して花色の変化をおこします。送粉昆虫1)は赤花よりも白花を選択的に訪花します2)。つまり、受粉が済んだ確率が高い赤花よりも、受粉前の白花に昆虫を誘導する花色の変化は、昆虫にとっては能率的であり、花数が多いハコネウツギにも無駄が無い生存上の戦略であると言えます。

 品種(forma)として、白花で花色が変化しないシロバナハコネウツギ(白花箱根空木)Weigela coraeensis Thunb. f. alba (Voss) Rehder、初めから紅花を付けるベニバナハコネウツギ(紅花箱根空木)Weigela coraeensis Thunb. f. rubriflora Momiyamaがあります。
 ハコネウツギと酷似した、山地性のニシキウツギ(二色空木)Weigela decora (Nakai) Nakai があり、これにも品種として、シロバナニシキウツギ(白花二色空木)Weigela decora (Nakai) Nakai f. nivea Sugim. 、ベニバナニシキウツギ(紅花二色空木)Weigela decora (Nakai) Nakai f. unicolor (Nakai) H.Hara があります。また、変種のアマギニシキウツギ(天城二色空木)Weigela decora (Nakai) Nakai var. amagiensis (Nakai) H.Hara f. bicolor Sugim. や、交雑種のハコネニシキウツギ(箱根二色空木)Weigela x hakonensis Nakai もあります。

脚注:
1)送粉昆虫は、主にコマルハナバチ(小丸花蜂)Bombus ardens (Smith, 1879)と、ジャコウアゲハ(麝香揚羽)Atrophaneura alcinous (Klug, 1836)。
2)タニウツギ属植物における花色変化の機構と生物学的意義の解明(下川, 悟史 2012)
参考文献:
Flora of Japan, Hakone-utsugi. H.Ohba
The Plant of Hakone Recorded in the Thunberg's Flora of Japan - Bull, Kanagawa prefect. Mus. (Nat. Sci), no 42, pp. 35-62, Feb. 2013

Japanese common name : Hakone-utugi
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Weigela coraeensis Thunb.
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白花が若く、時間が経つと赤花へと変化する。
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シロバナハコネウツギ(白花箱根空木)
Weigela coraeensis Thunb. f. alba (Voss) Rehder

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左:咲き始め 花は赤くならずに終わる


ハコネウツギ(箱根空木)
スイカズラ科タニウツギ属
学名:Weigela coraeensis Thunb.
花期:5月~6月 落葉低木 樹高:2~5m 花径:2~3cm 果期:9~12月

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【学名解説】
Weigela : Christian Ehrenfried von Weigel (1748-1831)に因む/タニウツギ属
coraeensis : koreensis(朝鮮産の・高麗から来た)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
シロバナハコネウツギ(白花箱根空木)
f. : forma(品種)
alba : albus(白色の)
Voss : Andreas Voss (1857-1924)
Rehder : Alfred Rehder (1863-1949)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.50km 左岸土手(植栽) 2006.05.24
満観峰(Alt. 470m) 2015.05.21, 2015.06.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 May 2006, 17 May 2015
Last modified: 19 June 2015
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by pianix | 2006-05-26 00:00 | | Trackback(1) | Comments(4)
4月のクイズ
 次の花の名前を当てて下さい。

 ヒント:園芸種で、誰もが知っている花です。写真は、その一部分です。

 お分かりのかたは、最下段の「Comments」をクリックして、コメント欄でお答え下さい。分からなかったかたは「分からない」とお答え下さい。簡単すぎると思われた方は、花の名前は書かずに、それにまつわる話でもお書き下さい。賞品は出ません(もしかしてその内に用意するかもしれませんが……)。

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答えは、チューリップでした。 nenemu8921さんが解答してくれました。

チューリップ(Tulip)
和名:ウコンコウ(鬱金香)
ユリ科チューリップ属
学名:Tulipa gesneriana L.
花期:3月~5月 多年草 草丈:20cm~70cm 花径:5cm~

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【学名解説】
Tulipa : tulipan(頭巾)/チューリップ属
gesneriana : Gesnerianus(コンラッド・ゲスネル(Conrad von Gesner (1516-1565)氏の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 April 2006
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by pianix | 2006-04-12 00:00 | クイズ | Trackback | Comments(2)
オシロイバナ(白粉花)
 オシロイバナ(白粉花)は、オシロイバナ科オシロイバナ属の多年草です。北アメリカが原産の帰化植物です。日本全国に分布します。園芸用途で移入栽培され、1694年(元禄7年)に帰化が確認されました。オシロイバナの名付け親は、江戸時代の博物学者である貝原益軒(1630-1714)です。名の由来は、果実の乳胚を潰すと白い粉状になる事から。夕方4時頃に咲く事から英国では「four o'clock」と呼ばれ、日本でも「夕化粧」の別名があります。しかし、開花時刻は季節が進むと早まります。中国名は、紫茉莉(zǐ mò li)

オシロイバナ科(Nyctaginaceae Juss. (1789))は、亜熱帯から熱帯に約34属350種が分布します。 オシロイバナ属(Mirabilis L. (1753))は、約50種が分布します。

 茎は分枝しながら草丈30~100cmになります。葉は対生します。広卵形で全縁、葉脈に毛があり、長さ約9cm。斑入りもあります。花期は7月から10月。夏期は午後に開花します。総苞5枚があり、そこから伸びた萼が筒状となり先端がラッパ状に5裂します。筒部は約5cm、花冠径は2~3cm。雄しべは5本。花色はベタレイン色素(Betalain Pigments)によるもので、基本色は黄色、赤色、白色。トランスポゾン1)によって発色が決まります。

 果実は偽果である副生果(anthocarp)です。総苞に包まれます。8~9mmの楕円形で黒色。未熟果実は、中に白色で白粉質の胚乳が含まれます。成熟果実は固くなり、種子は1個で約5mm。根茎と種子はトリゴネリン2)を多く含み、有毒です。

 植物の受粉方法を区別すると、他家受粉3)、自家受粉4)、単為生殖、無性生殖があります。オシロイバナは両性花で他家受粉と自家受粉の両方を行います。他家受粉の送粉者はスズメガ。媒介する送粉者により受粉できなかった場合は、同花受粉(自家受粉)します。開花直後は雄しべ、雌しべとも真っ直ぐですが、暗くなると曲がり始め受粉します(両動同花受粉5))。そして花の中に潜ってしまいます。染色体数は、2n=(54),58。

 類似種に、花筒部分が10cm程になる、ナガバナオシロイバナ(長花白粉花)Mirabilis longifolia L. があります。品種に、苞が着色して花弁のように見える、フタエオシロイバナ(二重白粉花)Mirabilis jalapa L. f. dichlamydomorpha (Makino) Hiyama があります。

★  ★  ★

 花を探して河川敷を歩き回っていると、一人の男性がじっと何かを見据えていました。話しかけると、「この場所にオシロイバナの種を植えておいたので成長を見に来ている」との事でした。面白そうな花色の種を集めて植え、観察するというのは、立派な研究だと思いました。

 一本の株から異なる色の花が咲くのは不思議な感じがします。昨年見た河川敷のオシロイバナは、茎の太さが8cm程もあり、まるで木本のようでした。掘り下げるとサツマイモのような根茎をしているのが分かります。従って、上部が切り取られても根強く生き残る事ができます。

脚注:
1)トランスポゾン(transposon):染色体(DNA)上を移動することができる遺伝子。動く遺伝子。転移因子。Barbara McClintock (1902-1992)による発見で、1983年にノーベル生理学・医学賞を受賞。
2)トリゴネリン(trigonelline, C7H7NO2) :別名をカフェアリン、N-メチルニコチン酸。神経等に対する薬理作用が研究され、アルツハイマー型認知症予防の効果が期待されている。生薬として根を利尿や関節炎、葉を切り傷の治療等に利用される事がある。誤食により、嘔吐や腹痛、下痢を起こす。マメ科フェヌグリーク属のコロハ(胡廬巴)Trigonella foenum-graecum L.から初めて分離された成分である事から属名(Trigonella)が由来の名となった。
3)他家受粉(cross pollination):他個体の花粉で受粉する方法。
4)自家受粉(self pollination):同じ個体内で受粉する方法。同花受粉と隣花受粉に細分される。
5)両動同花受粉:雄しべと雌しべの両方が動いて同花受粉する方法。

Japanese common name : Osiroi-bana
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Mirabilis jalapa L.

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左:緑色の抱葉から筒状になった萼が伸び花弁状になる。 右:葉は対生。

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左:色の交雑は多い。 右:筒部を切開。

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左:基本種は白、黄色、赤色。 右:絞り

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左:未成熟の果実は柔らかく白粉質の胚乳がある。 右:成熟果実は固い。

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左:成熟果実の断面 右:種子


オシロイバナ(白粉花)
別名:ユウゲショウ(夕化粧)/フォーオクロック(four o'clock)
オシロイバナ科オシロイバナ属
学名:Mirabilis jalapa L.
花期:7月~10月 多年草 草丈:60~100cm 花径:2~3cm 実径:8~9mm

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【学名解説】
Mirabilis : 不思議な・素敵な/オシロイバナ属
jalapa : ヤラッパ(メキシコの町名)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 左岸河川敷 2005.09.01
葵区福田ヶ谷 2006.11.21
安倍川/河口から14.0km 左岸河川敷 2007.07.26
自宅 2017.10.03
葵区南沼上 2018.07.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

16 September 2005, 30 May 2014, 9 July 2016, 4 August 2017
Last modified: 11 August 2018
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by pianix | 2005-09-16 00:00 | | Trackback | Comments(2)
キョウチクトウ(夾竹桃)
 海手前500m程の土手上に植林されているキョウチクトウが満開です。花色は白が圧倒的で、赤系は数本程度でした。

 以前は毎週来ていた場所です。競歩練習のために往復20kmを歩いていたのですが、その時はキョウチクトウの存在には気が付きませんでした。折り返し点であり、汗びっしょりでハアハアゼイゼイしていましたから余裕が無かったのでしょう。

 インド原産です。花色は、赤・紫紅・桃・白。生薬で夾竹桃葉(強心薬)として利用されますが、有毒(オレアンドリン、oleandrin)なので非常に危険、素人療法は厳禁です。

Japanese common name : Kyoutikutou
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Nerium oleander L. var. indicum (Mill.) O.Deg. et Greenwell

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キョウチクトウ(夾竹桃)
別名:ハンネンコウ(半年紅)/ミフクラギ(目膨木)、
キョウチクトウ科キョウチクトウ属
学名:Nerium oleander L. var. indicum (Mill.) O.Deg. et Greenwell
synonym : Nerium indicum Mill.
花期:6月~9月 常緑低木 樹高:3~5m 花径:4~5cm

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【学名解説】
Nerium : neros(湿った)/キョウチクトウ属
oleander : 由来不明/ Olea(Oliveの古名)に似た
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
indicum : インドの
Mill. : Philip Miller (1691-1771)
O.Deg. : Otto Degener (1899-1988)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Greenwell : Amy Beatrice Holdsworth Greenwell (1921-1974)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.5~0km 左岸土手 2005.06.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 08 June 2005
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by pianix | 2005-06-08 00:00 | | Trackback | Comments(0)
タチアオイ(立葵)
 梅雨入りが近づいた、どんよりとした曇り空の日。静岡の入梅日は6月8日が平均だそうです。今は、梅雨の走り。野草を観察に行っても、いつ降り出すかと心配になってしまいます。植物は、雨が降ろうと風が吹こうと、じっと耐えます。というよりも、雨は恵み。そんな植物のまっただ中で、この時期を嫌う私だけが異質なのは確かです。

 私は、自生する植物が好きです。ところが、自生するからこそ人間に嫌われるという側面があります。それを理解しないと摩擦が起きてしまいます。人間に都合の良いものと悪いものがあり、都合の悪いものの内、人間がコントロールできないものが嫌われるのです。それを雑草と呼び、お百姓さん達は日々戦っています。彼らが雑草に愚痴を言いたくなるのも分かります。人間にも似たような所があり、自分で生きていける人や信念の強い人は嫌われる存在になってしまうことがあります。アウトロー=雑草の図式です。それを理解した上で、なおかつ私は自生する野草が好きなのです。

 タチアオイが色とりどりに背丈を伸ばして花を咲かせています。晴れた日のタチアオイは元気そうです。曇りの日は優しそうに見えます。タチアオイは静岡市の市花になっています。

Japanese common name : Tati-aoi
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Alcea rosea L.


タチアオイ(立葵)
別名:ホリホック/ハナアオイ(花葵)
アオイ科タチアオイ属
学名:Alcea rosea L.
synonym : Althaea rosea (L.) Cav.
花期:6月~8月 2年草 草丈:1~2m 花径:7~10cm

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【学名解説】
Alcea : altheo(治す)/タチアオイ属(Alcea L. (1753))
rosea : roseus(バラ色の、淡紅色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
Althaea : althaino(治療)/ビロードアオイ属

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10km 左岸河川敷 2005.06.03
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

5 June 2005
Last modified: 12 June 2014
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by pianix | 2005-06-05 00:00 | | Trackback | Comments(0)