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マンサク(満作)
 マンサク(満作)は、マンサク科マンサク属の落葉小高木です。本州(太平洋側)、四国、九州に分布する在来の日本固有種です。名の由来は、不明です。東北の方言で「まんずさく=先ず咲く」、枝に多数の花がつく事から「満作」との説があります。語源不明なため万作とも書き、漢字表記も当て字と思われます。中国名は、金縷梅(jīn lǚ méi)で、これはシナマンサク1)(支那満作)を指します。

 マンサク科(Hamamelidaceae R.Br. (1818))は、亜熱帯から暖帯に27属約80~90種が分布します。マンサク属(Hamamelis L. (1753))は、東アジアと北米に約4種が分布します。

 山地に多い落葉小高木で、樹高は2~5m。樹皮は灰色。葉柄は長さ5~15mm。葉は互生します。長さ5~10cm、幅5~7cmの菱状円形から倒卵形で、波状の鋸歯があります。葉裏は脈が隆起して目立ちます。葉柄や葉表に軟毛があるのは、シナマンサクです。

 花期は、2月から3月。葉に先立って花を咲かせます。丸めて収められていた花弁を展開するため、ねじれた細長いリボン状となります。花弁は黄色で4枚。長さ12~15mmで、花径は2~3cm。雌雄同株。雄しべ4個、線形の仮雄しべ4個があります。葯室は2個あり、葯色は黄色。雌しべ花柱は先端が2裂します。萼片は、暗紫色の卵形で4個。

 果期は6月頃。果実は蒴果です。褐色の腺毛がある卵形球状で固く、長さ約1cm。2裂して2個の種子を出します。種子は黒色の長楕円形で、長さ7~9mm。染色体数は、2n=24。

 萼片が黄色のものは、岡山県阿哲地方に自生するアテツマンサク2)(阿哲満作)で、準絶滅危惧(NT)。葉先が丸いのは、マルバマンサク2(丸葉満作)です。他に園芸品種が多数あります。

 樹皮を縄の代用として用いる事があります。虫瘤のマンサクメイボフシ(満作芽疣附子)や、マンサクメイガフシ(満作芽毬附子)が付く事があります。また、葉枯れの病気が発生する場合があり、原因の究明が急がれています。乾燥葉を民間療法や収斂化粧水とする事がありますが、薬用として用いられる事はありません。

脚注:
1)シナマンサク(支那満作)
Hamamelis mollis Oliv.
2)アテツマンサク(阿哲満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwi[準絶滅危惧](NT)
3)マルバマンサク(丸葉満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. discolor (Nakai) Sugim. f. obtusata (Makino) H.Ohba

Japanese common name : Mansak
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Hamamelis japonica Siebold et Zucc.

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花弁4枚と雄しべ4個、仮雄しべ4個があり、雌しべ花柱は2裂。萼片は暗紫色。

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左:花後に葉が展開する 右:樹皮
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Japanese common name : Atetu-mansak
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アテツマンサク(阿哲満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwi


マンサク(満作)
マンサク科マンサク属
学名:Hamamelis japonica Siebold et Zucc.
花期:2月~3月 落葉小高木 樹高:2~5m 花径:2~3cm

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【学名解説】
Hamamelis : hamos(似た)+melis(リンゴ)からの転用/マンサク属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz (Balthasar) von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Gerhard Zuccarini (1790-1848)
---
シナマンサク(支那 満作)
mollis : 軟毛のある
Oliv. : Daniel Oliver (1830-1916)
---
アテツマンサク(阿哲満作)
var. : varietas(変種)
bitchuensis : 備中(現岡山県西部)産の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
Ohwi : 大井次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)
---
マルバマンサク(丸葉満作)
discolor : 2色の
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
Sugim. : 杉本順一 Jun'ichi Sugimoto (1901-1988)
f. : forma(品種)
obtusata : obtusatus(鈍頭の)
H.Ohba : 大場秀章 Hideaki Ohba (1943- )

撮影地:岩手県盛岡市
北松園緑地 カモシカ峠(植樹) 2018.03.24
[Location : Morioka City, Iwate Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 April 2018
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by pianix | 2018-04-16 00:00 | | Comments(0)
フキタンポポ(蕗蒲公英)
 フキタンポポ(蕗蒲公英)は、キク科フキタンポポ属の多年草です。ユーラシア大陸(中国からヨーロッパ)が原産です。日本には明治初期に移入された帰化種です。名の由来は、葉がフキ(蕗)に、花がタンポポ(蒲公英)に似ていることから(『頭註国訳本草綱目』牧野(1929))。別名の款冬(kuǎn dōng)は、中国名の音読みで、冬の至れる時期に花が咲くとの意味です。英名は、コルツフット(Colt’s-foot)で、子馬の足の意味。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。フキタンポポ属(Tussilago L. (1753))は、1属1種が分布します。

 葉は、互生します。花茎に鱗片状の小葉と綿毛がつき、草丈は5~10cm。開花後に出る根出葉は三角状心形で、長さ3~12cm、幅3~14cm。長い葉柄があり、葉裏に毛があります。花期は、1月から3月頃。頭状花序を茎頂に単生します。頭花は筒形、黄色で径2~3cm。花冠中央の筒状花は雄性。花冠周囲に輪状につく糸状の舌状花は雌性で、柱頭は2裂します。苞は鐘形で、総苞片は線形。花は昼開き夜に閉じる就眠運動を行います。

 果実は、痩果です。円筒形で長さ3~4mm。冠毛があり、長さ約1cm。染色体数は、2n=60。

 観賞用に栽培し葉を取り除いたものを、フクジュソウ(福寿草)の代用として正月飾りとして使われます。古来から薬用として用いられてきました。花蕾を乾燥させたものを生薬カントウカ(款冬花)として、鎮咳、去痰に用います。ピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine alkaloid)のツッシラギン(Tussilagine)及びセンキルキン(Senkirkine)を含有し使用には注意を要します。肝疾患者は禁忌。ドイツでは薬用販売禁止、カナダでは食用の規制がかかっています。なお、ワカントウカ(和款冬花)は、フキノトウ(蕗の薹)の花蕾を乾燥させたものです。

Japanese common name : Fuki-tanpopo
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Tussilago farfara L.
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開花後に出る根出葉は三角状心形


フキタンポポ(蕗蒲公英)
別名:カントウ(款冬)
キク科フキタンポポ属
学名:Tussilago farfara L.
花期:1月~3月 多年草 草丈:5~10(45)cm 花冠径:2~3cm

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【学名解説】
Tussilago : tussis(咳)+agere(追いやる、等多義)/フキタンポポ属
farfara : falcatus(鎌状の)/フキタンポポ古名
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 February 2018
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by pianix | 2018-03-06 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Comments(0)
ハルシャギク(波斯菊)
 ハルシャギク(波斯菊)は、キク科ハルシャギク属の1年草です。北米西部原産で、明治初期に栽培用途として移入されたと言われています。栽培種が逸出して野生化しています。和名の波斯は、ペルシャ(現イラン)のことですが、原産地との関係はありません。別名のジャノメソウは、花冠が蛇の目模様であることから。中国名は、兩色金雞菊(liǎng sè jīn jī jú)。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ハルシャギク属(Coreopsis L. (1753)) は、アメリカやアフリカに約120種が分布します。

 園芸用途での花壇植えの他、日当たりの良い草地などで野生します。茎は無毛で、分枝しながら60~80cmの高さになります。葉は、対生します。2回羽状の複葉で深裂か全裂し、線形から線状披針形で先端は丸まります。蕾は暗赤褐色の筋があり球形。

 花期は、6月から9月頃。複集散花序1)を出し、柄の先に頭状花をつけます。皿状の総苞片は2列。総苞片は内片より外片が長くなります。花径は、3~4cm。花色は黄色で、中心部が紫褐色になります。舌状花は約8枚。先端は山状に浅く3裂します。黄色で、基部は紫褐色、不稔性です。中心部に紫褐色の筒状花が多数あり、両性花で、5本の雄しべの葯は合着して葯筒となります。

 果実は、痩果です。種子は翼があり、長楕円形で黒色、長さ1.5~2.5mm、幅約1mm。属名のCoreopsisは、種子が南京虫(トコジラミ)に似ているとの意味ですが、今では連想できる人は少ないかもしれません。染色体数は、2n=24。

 ハルシャギク属の全種は、外来生物法で輸入時に種類名と数量が記載された「種類名証明書の添付が必要な生物」に指定(外来生物法25条、外来生物法施行規則31条・32条)されています。

 同属のハルシャギクの仲間に次の種類があります。
ホソバハルシャギク(細葉波斯菊)Coreopsis grandiflora Hogg ex Sweet
イトバハルシャギク(糸葉波斯菊)Coreopsis verticillata L.
ハマベハルシャギク(浜辺波斯菊)Coreopsis maritima (Nutt.) Hook.f.
 ヘレニウム属に、マツバハルシャギク(松葉波斯菊)Helenium amarum (Raf.) H.Rock があります。

脚注:
1)複集散花序:複合花序のひとつで、集散花序が組み合わさる花序。主軸から横枝を出し、その分枝を繰り返す。

Japanese common name : Harusya-giku
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Coreopsis tinctoria Nutt.

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花壇に咲くハルシャギク。茎は細く無毛。中心部の紫褐色模様は変異がある。

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野生化して草地に繁殖する。葉は対生。2回羽状の複葉で、線形から線状披針形。

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果実は、痩果。種子は翼があり長楕円形で黒色。



ハルシャギク(波斯菊)
別名:ジャノメソウ(蛇目草)、クジャクソウ(孔雀草)
キク科ハルシャギク属
学名:Coreopsis tinctoria Nutt.
花期:6月~9月 1年草 草丈:60~80cm 花径:3~4cm

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【学名解説】
Coreopsis : coris(南京虫)+opsis(似ている)/ハルシャギク属
tinctoria : tinctorius(染色用の、染料の)
Nutt. : Thomas Nuttall (1786-1859)
---
ホソバハルシャギク(細葉波斯菊)
grandiflora : 大きな花の
Hogg : Thomas Hogg (1777-1855)
ex : ~による
Sweet : Robert Sweet (1783-1835)
---
イトバハルシャギク(糸葉波斯菊)
verticillata : verticillatus(輪生の、環生の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
ハマベハルシャギク(浜辺波斯菊)
maritima : maritimus(海の、海浜生の)
Hook.f. : Joseph Dalton Hooker (1817-1911)
---
マツバハルシャギク(松葉波斯菊)
Helenium : Menelaus王の妻トロイのヘレン(Helena)の名/オグルマ属
amarum : amarus(苦味の)
Raf. : Constantine Samuel Rafinesque (1783-1840)
H.Rock : Howard Francis Leonard Rock (1925-1964)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km左岸 河川敷(植栽)2005.11.02
麻機湧水地第3工区 2017.09.24, 2017.09.25
麻機湧水地第1工区 2018.08.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

23 January 2018
Last modified: 30 August 2018
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by pianix | 2018-01-23 00:00 | | Comments(0)
タコノアシ(蛸の足)
 タコノアシ(蛸の足)は、タコノアシ科タコノアシ属の多年草です。東アジアに分布します。日本では、本州以西に分布する在来種です。1997年に絶滅危惧II類(VU)、2007年に準絶滅危惧(NT)に指定1)されています。名の由来は、紅葉する花を吸盤に見立て花穂を茹でたタコの足に例えたもの。別名のサワシオン(沢紫苑)は、沢に咲く紫苑から。葉がシオン(紫苑)に似ているからと思われますが、使われる方はあまりないようです。中国名は、扯根菜(chě gēn cài)。

 タコノアシ科(Penthoraceae Rydb. ex Britt. (1901))は、1属が分布します。タコノアシ属(Penthorum L. (1753))は、東アジアや北アメリカ東部に2種が分布します。

 水辺や湿地に自生する抽水性の植物です。撹乱依存種2)で、生育地の変化や競合種により数が減少しています。根は不定根で長く伸び、走出枝によって群生します。茎は赤褐色で、直立します。草丈は30~80cm。葉は、互生します。狭披針形で、細かな鋸歯があり、長さ6~11cm、幅5~12mm。

 花期は、8月から10月。茎の先に総状花序を出します。花序枝を放射状に伸ばし、長さ4~12cm。花柄は長さ2~4mmで、腺毛があります。花径は、約5mm。普通、花弁は退化してありません。萼は5裂し、裂片は卵状披針形で長さ2mm以下。両性花です。雄しべは10本で長さ3~4mm、葯は黄色。雌しべは5本で下部で合着し、白色。果期に紅葉します。

 果実は、蒴果です。狭卵形で長さ約6mm。5室が輪状につき星形となります。先端が尖った心皮離生部と花柄についた心皮合着部で構成されます。萼裂片は反り返ります。乾燥すると茶色になり、上部の心皮離生部と心皮合着部にわずかな裂け目ができて種子を散布します。散布が終わる頃、とんがり帽子形状の心皮離生部が脱落します。

 種子は薄黄色から赤味を帯びた狭卵形で、長さ0.5~0.6mm。種子がまとまるとピンク色に見えます。表面に微細な疣状突起が多数あり、1室に400~500個程が含まれます。種子は約1ヶ月で発芽します。種子、及び地下茎によって繁殖します。染色体数は、2n=16。

脚注:
1)環境省レッドリスト2017カテゴリー
絶滅危惧II類(VU) : 絶滅の危険が増大している種
準絶滅危惧(NT) : 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
2)自然、及び人為的な耕起や刈取りなどの撹乱がなければ集団の存続が困難になる種

参考文献:
絶滅危惧植物タコノアシの保全と再生に関する生態学的研究. 米村惣太郎. 清水建設研究報告 第90号 平成25年1月
調整池の植生基盤に導入されたタコノアシ(Penthorum chinense Pursh)の経年的変化, 米村惣太郎・井原寛人. 日緑工誌 J. JPn. Soc. Reveget. Tech., 34(1),45-50, (2008)

Japanese common name : Tako-no-asi
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Penthorum chinense Pursh

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茎は直立し上部で枝分かれする。葉は狭披針形で互生。

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雄しべ10本、葯は黄色。雌しべは5本で下部で合着。

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果期の果序を茹でタコの足に例えた。

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1月のタコノアシ。

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果実は蒴果。5個が輪状につき、蓋にあたる心皮離生部がある。

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心皮離生部はとんがり帽子のような形状。裂け目がわずかに広がり種子を散布する。

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心皮合着部。心皮離生部は種子が散布された頃に脱落する。

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種子。狭卵形で、疣状突起が多数ある。長さ0.5~0.6mm。



タコノアシ(蛸の足)
別名:サワシオン(沢紫苑)
タコノアシ科タコノアシ属
学名:Penthorum chinense Pursh
synonym : Penthorum sedoides L. subsp. chinense (Pursh) S.Y.Li et K.T.Adair
花期:8月~10月 多年草 草丈:30~80cm 花径:4~5mm

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【学名解説】
Penthorum : pente(五)+horos(標準、特徴)/タコノアシ属
chinense : chinensis(中国の)
Pursh : Frederick Traugott Pursh (1774-1820)
---
sedoides : Sedum(ベンケイソウ属)に似た
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
S.Y.Li : Shi You Li (fl. 1988)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
K.T.Adair : Kent T. Adair (fl. 1994)
---
fl. : floruit(在世期、活動期)/生没年が不明な人物の場合に使用

撮影地:静岡県静岡市
葵区 麻機遊水池第3工区 2017.09.23, 2017.09.24, 2017.09.29, 2017.11.28, 2018.01.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

16 January 2018
Last modified: 19 January 2018
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by pianix | 2018-01-16 00:00 | 水辺の植物 | Comments(0)
ケナフ(Kenaf)
 ケナフ(Kenaf)は、アオイ科フヨウ属の1年草です。アフリカ、あるいはインドが原産と言われていますが不明です。アジア、オーストラリア、北アメリカに移入分布します。日本には第二次世界大戦の頃に移入されたと言われています。製紙原料の繊維を取るために栽培されています。また、栽培逸出して野生化する事もありますが帰化状態ではありません。名の由来は、kenab(麻)から。中国名は、ヤンマ(洋麻)。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(APG)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属、約1500種でした。フヨウ属(Hibiscus L. (1753))は、約250種が分布します。

 栽培種です。播種後は、夏以降に急速に成長します。根はゴボウ状で真下に伸びます。茎は、円柱状で径1~5cm、まばらに棘があり、直立します。草丈は3~4mになります。葉は、互生します。葉柄は6~20cm。掌状深裂します。茎上部になるほど裂片数が増え、3、5、7深裂となり、茎頂付近では槍形となります。掌状裂片は長さ2~12cmの被針形で、鋸歯があります。

 花期は、10月から11月頃。早朝に花を横向きに開きます。一日花です。ごく短い花柄の先に花を単生させます。総苞片(萼状総苞)は7~10個あり、長さ6~8mm。萼は、鐘形で長さ約5cm、萼片は5裂し被針形で、先端は鋭突。花冠は5枚の花被片からなり、薄黄色。中心部は農赤色の楕円形で長さ約6cm。花径は8~15cm。両性花で虫媒花です。雄しべは筒状の単体雄蕊1)で、花糸の長さは1.5~2cm。花柱は5個で、柱頭先端は3裂します。

 果実は蒴果です。径約15mm~20mmで、先端がくちばし状になり棘を密生させます。5室があり、各室に3~5個の種子を含みます。種子は、アサガオの種子に似た茶色の腎臓形で、約5mm。染色体数は、2n=36。

 成長が早く栽培が容易ですが、風、農薬に弱い弱点があります。また、蜜線も多いので虫を呼び寄せやすいようです。葉の表と裏に気孔が多数ある事から、二酸化炭素、二酸化窒素の単位面積当たりの吸収率が高い事が知られています。若葉には、カルシウム、カロチン、鉄分が豊富です。茎から繊維、種子から乾性油が採取されます。繊維は、製紙原料として使われ、麻袋や網、炭等にも利用されます。畑地では連作障害に注意を要します。

※大麻取締法で栽培が規制されているアサ(麻)と間違えられやすい植物です。アサの茎は4稜があり、本種の丸形とは異なります。

1)単体雄蕊(たんたいゆうずい):雄しべが合着して筒状になるもの。monadelphous stamen。

Japanese common name : Kenafu
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Hibiscus cannabinus L.

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ケナフ(Kenaf)
アオイ科フヨウ属
学名:Hibiscus cannabinus L.
花期:10月~11月 1年草 草丈:3~5m 花径:8~15cm

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古名/フヨウ属(ヒビスクス属)
cannabinus : Cannabis(麻)+anus(ラテン語形容詞化)/麻のような
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 20 December 2015
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by pianix | 2015-12-22 08:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Comments(0)
トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)
 トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)は、アオイ科トロロアオイ属の1年草です。中国原産で、栽培や園芸用途として用いられています。江戸時代までには渡来していたと言われています。名の由来は、根や果実が粘液質であるトロロに似たアオイである事から。別名のハナオクラは、花がオクラ(Okra) 1) に似る事から。黄蜀葵は中国名で、オウショクキ。英名は、Aibika。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(APG)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属でした。トロロアオイ属(Abelmoschus Medik. (1787))は、アジアやオーストラリアに約15種が分布します。旧分類では、フヨウ属(Hibiscus L. (1753))でした。

 根茎は紡錘形に肥大し、長さ約20cm。草丈は30~200cmで、茎に剛毛があり直立します。葉は、互生します。長い柄があり、掌状に5~9深裂します。花期は、8~9月頃。茎頂に淡黄色の5弁花を横向きにつけます。花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂します。茎の下部から上へと順に開花します。一日花で、朝開き、夜には落下します。果実は、蒴果です。楕円形で5稜に尖り、剛毛があり、茶色に熟します。種子は、長さ4.5~5mm、幅3~3.5mm。染色体数は、2n=68(桑田晃 1960)。

 花弁をサラダにして食べる事もありますが、果実は食用に用いられません。根から抽出される粘液を和紙を漉く糊料のネリ(糊)として用います。成分は、ガラクツロン酸2)です。コウゾ(楮)の表皮から内側白色部分だけを取り出し粉砕した繊維と混ぜ合わせて和紙を漉きます。漉いた和紙を板で天日干しするか熱した鉄板で乾かします。その為、接した部分は平滑になるので和紙には裏表があります。手間暇かけた高級和紙のできあがりです。

 現在は化学薬品のポリアクリルアミド(polyacrylamide)を用いる場合が多くなりました。栽培最盛期は、昭和40年の1,600haでしたが、現在は5ha程に激減しています。乾燥根を生薬の黄蜀葵根(オウショクキコン)として、咳止めや胃腸薬に用います。

 他に、沖縄諸島に分布する、リュウキュウトロロアオイ(琉球土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik.、変種として尖閣諸島固有種で、絶滅危惧ⅠA類(CR)の、センカクトロロアオイ(尖閣土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik. var. betulifolius (Mast.) Hochr. があります。

1) Abelmoschus esculentus (L.) Moench
2) ガラクツロン酸(galacturonic acid, C6H10O7)

Japanese common name : Tororo-aoi
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Abelmoschus manihot (L.) Medik
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花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂する。

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左:萼片5、下から咲く一日花。 右:長い柄があり、掌状に5~9深裂する


トロロアオイ(黄蜀葵)
別名:ハナオクラ
アオイ科トロロアオイ属
学名:Abelmoschus manihot (L.) Medik
花期:8~9月 1年草 草丈:30~200cm 花径:15~20cm 果期:10月

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【学名解説】
Abelmoschus : abul-mosk(香りの父)/トロロアオイ属
manihot : イモノキ(芋の木)、キャッサバ、タピオカ/ブラジル名maniocに由来
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Medik. : Friedrich Kasimir Medicus (1736-1808)
---
moschatus : 麝香の香りのする
---
var. : varietas(変種)
betulifolius : カバノキ属(Betula)のような葉(folium)の
Mast. : Maxwell Tylden Masters (1833-1907)
Hochr. : Benedict Pierre Georges Hochreutiner (1873-1959)
---
esculentus : 食用の
Moench : Conrad Moench (1744-1805)

撮影地:静岡県藤枝市
石谷山(びく石) Alt.526m/笹川八十八石コース 2010.08.10, 2012.09.02
[Location : Fujieda City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 15 December 2015
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by pianix | 2015-12-15 08:00 | | Comments(0)
キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)
 キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)は、ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。シロバナネコノメソウ(白花猫の目草)を母種とする変種で、東海地方(静岡県、愛知県、岐阜県)、長野県に分布する日本固有種です。静岡県と岐阜県では準絶滅危惧(NT)、愛知県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)、長野県では絶滅危惧IA類(CR)。名の由来は、花弁状の萼片が黄色いネコノメソウであることから。ネコノメソウは、果実が熟して割れた形状を猫の瞳孔に例えたもの、あるいは漢名の猫児目晴草から。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。ネコノメソウ属(Chrysosplenium L. (1753))は、世界に約55種、日本に14種が分布します。葉が対生するネコノメソウ節と、互生するヤマネコノメソウ節の2節に分類されます。キバナハナネコノメは、葉が対生するネコノメソウ節です。

 山地の谷や渓流沿いに自生します。草丈は5~10cm。茎は紅紫色を帯び、白色の軟毛があります。。花後に走出枝(runner)を伸します。葉は対生します。根出葉は1~2対を対生させ、花期に枯れます。茎葉は短い柄があり、長さ2~8mm、幅3~9mmの扇形単葉で、丸い鋸歯が3~5個あります。

 花期は4月から5月頃。黄色の4裂した広卵形の萼片が花弁状になり半開します。花径は、4~8mm。雄しべは8個。葯は黄色や橙赤色で、萼片から突出します。花柱の先端はくちばし状。子房上位。果実は蒴果です。

 シロバナネコノメソウ(白花猫の目草)Chrysosplenium album Maxim. var. albumを母種とする変種は次の3種があります。
ハナネコノメ(花猫の目)Chrysosplenium album Maxim. var. stamineum (Franch.) H.Hara
・キイハナネコノメ(紀伊花猫の目)Chrysosplenium album Maxim. var. nachiense H.Hara
・キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)Chrysosplenium album Maxim. var. flavum H.Hara

※参考:レッドデーターブック・カテゴリー(分野図)

Japanese common name : Kibana-hana-mekonome
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Chrysosplenium album Maxim. var. flavum H.Hara


キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)
ユキノシタ科ネコノメソウ属
学名:Chrysosplenium album Maxim. var. flavum H.Hara
花期:4月~5月 多年草 草丈:5~10cm 花径:4~8mm

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【学名解説】
Chrysosplenium : chrysos(金の)+spleen(脾臓)/ネコノメソウ属
album : albus(白色の)
Maxim. : Carl Maximowicz (1827-1891)
var. : varietas(変種)
flavum : flavus(黄色、山吹色、黄金色の)
H.Hara : 原寛 Hiroshi Hara (1911-1986)

撮影地:静岡県静岡市
貴重種位置情報非公開 2009.03.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 August 2014
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by pianix | 2014-08-18 00:00 | | Comments(0)
バショウ(芭蕉)
 バショウ(芭蕉)は、バショウ科バショウ属の多年草です。温帯地域を中心に自生分布しています。中国経由で日本に入ってきたと考えられていて、日本では、本州中部以南、四国、九州で観賞用として露地栽培されています。名の由来は、詳細不明です。中国でバナナを芭蕉と当て字し、日本では漢名を音読みしたもの。漢名の一説に、芭は葉の形状が腹ばいに横たわっている状態を表し、蕉は焦がすの意味で黒色を表しているとされています。語源として南方系の言語からとの説もあります。英名は、Japanese Fiber banana、Hardy banana。

 バショウ科(Musaceae Juss. (1789))は、熱帯を中心に3属約50種が分布します。バショウ属(Musa L. (1753))は、約40~50種が分布します。

 澱粉を含む塊状で宿根性の塊茎(Rhizome)があり、新しい塊茎を側生して繁殖します。茎は葉鞘(Sheath)が発達した偽茎(Pseudostem)で、径約20~25cm。中心部に花茎があり径約4cm、高さ2~5m程になります。偽茎から繊維を取り出し、芭蕉布(ばしょうふ/バシャギン)が作られます。

 長さ1~3m、幅30~80cm程になる広楕円形の葉を互生してつけます。葉柄は30cm程、葉先は鈍頭です。主脈がU字形に深く湾曲して溝となり、裏面へと隆起します。強風にあおられると支脈に沿って裂けますが、風の抵抗を減らす為と考えられています。冬季に枯れ、3月後半頃から新葉を展開します。円筒形に巻いた葉を直立させた後、ほぐしながら左右に広げます。枯れると黒褐色となります。乾燥させた葉を、生薬「芭蕉」として用います。

 花期は7~9月頃。葉心から果軸(Peduncle)を伸ばして下垂し、黄緑色の苞(Bract)をつけます。黄色で卵状形の苞を次々に開き、果軸の先に花穂を出して薄黄色で唇形の花冠をつけます。雌雄異花で雌性先熟(Protogyny)。自家受粉を避ける為、初めに雌花をつけ、時期を遅らせてから、雄花をつけます。

 雌花花序は螺旋状につく果房(Cluster)の先端に出します。多くは不稔性で偽果ですが、希に結実して長さ6cm程の四稜があるバナナ状の果実を付けます。果実は液果(漿果)。種子は暗褐色。

 果軸先端で苞を開き、雄花花序を段状に出します。花は筒状唇状で、雄しべは長さ約5cm。苞は径約8cm。染色体数は、2n=22(x=11)。

◆ ◆ ◆

 安倍城跡(Alt.435.2m)の西ヶ谷登り口付近に、何本かのバショウが植えられています。訪れた人はバナナだと思って実をつけるのを楽しみにしているようです。多分、実が成ったらよじ登って食べる気でいるからなのでしょう。ところが、いつの時期も実ったバナナを目にする事はありません。たまに実を付けても大変小さく、いつ大きくなるだろうと思って待っていても、そのままで終わってしまいます。このバナナは実を付けない駄目なバナナだと、ののしられる結果となります。・・・だから、バナナ(実芭蕉)ではないって。大変可哀想なバショウです。

参考:ミズバショウ(水芭蕉) 芭蕉の名が付けられているが異なる科属

Japanese common name : Bashou
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Musa basjoo Siebold ex Iinuma
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台風15号通過後 2011.09.23
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台風によって痛んだ葉 2011.09.23
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苞 2012.05.16

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左:2012.02.28 黒化した果実 2012.06.08 新しい果実

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左:2008.07.11 《先端の苞が開いて雄花が出てくる》 右:2012.09.20
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雄花 2012.09.13

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円筒形に巻いた状態で新しい葉が出てくる。 2012.06.24

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左:2012.09.13  《葉は互生する》  右:2012.09.20

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左:葉表          右:葉裏
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葉の主脈が裏面にU字形に隆起し、羽状の支脈が平行に並ぶ。 2012.12.27



 ある秋の日、このバショウのほとんどが切り倒されました。70歳代の地主に話を伺うと、このバショウは先代からあったようです。偽茎に鋸を半分ほど入れれば簡単に倒す事ができ、またすぐに生えてくると話してくれました。巨大な「草」が伸びてくるのを心待ちにしました。
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伐採後の切り株 2012.12.27

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左:偽茎切り株、中心部に花茎 2013.01.05   右:葉柄の断面2012.12.27
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【成長の過程】切口から花茎が伸びてきた 2013.03.21
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【成長の過程】葉を展開して大きくなった。2013.06.04


バショウ(芭蕉)
バショウ科バショウ属
学名:Musa basjoo Siebold ex Iinuma
花期:7~9月 草丈:4~5m 多年草 雄しべ長:約5cm

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【学名解説】
Musa : バナナのアラビア名(mawza)/ローマのアウグスト大帝の侍医Antonio Musaに因む/バショウ属
basjoo : バショウ
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
ex : ~による
Iinuma : 飯沼慾斎 Yokusai Iinuma (1782-1865)
---
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)

撮影地:静岡県静岡市葵区
安倍城跡(Alt.435m) 2008.07.11 - 2013.06.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 March 2013
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by pianix | 2013-03-30 00:00 | | Comments(2)
ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
 ミヤマキケマン(深山黄華鬘)は、ケシ科キケマン属の越年草です。本州(近畿地方以東)に分布する在来種です。名の由来は、フウロケマン(風露華鬘)1)の変種で山に生えるキケマン(黄華鬘)2)であることから。華鬘は、仏教で使われる透かし彫りの飾り。

 APG体系、新エングラー体系ではケシ科(Papaveraceae Juss. (1789))に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。クロンキスト体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae Marquis (1820))に分類され、世界に約16属450種が分布します。キケマン属(Corydalis DC. (1805))は、世界に約200種、日本では約20種が分布します。

 山地の林縁に自生します。茎は叢生し、斜上させて草丈20~45cmになります。褐色で無毛、軟弱で多汁質。折ると汁を出し、悪臭を放ちます。葉は、互生します。1~2回羽状複葉3)で、小葉は羽状に深く裂けます。ただし、発芽時の葉は切れ込みが深くはなく、褐色を帯びる事があります。

 花期は4月から6月。茎の先に、長さ4~10cmの総状花序を出します。花序に8~30個ほどの花を付けます。花柄は長さ5~12mm。苞は広披針形。萼片は2個で小さい。花は、花弁4の筒状で黄色、長さ20~23mm。先端が唇状、後部に緩やかに屈曲した距があります。母種であるフウロケマンの距は長くて大きく屈曲します。花弁は外側に2個、内側に2個あります。外側花弁は上下にあり(上下弁)、花弁先端は緑色で、やがて褐色を帯びて反り返ります。内側花弁は側面にあり(側弁)、先端で外側花弁から出て合着します。両性花です。雄しべ2本で、平形の花糸先端が3裂して1本につき3個の葯をつけます。虫媒花です。

 果実は蒴果です。弓なりになった線形で、長さ2~3cmの波打った数珠状。熟すと二裂して10前後の種子を出します。種子は1.5~1.7mmで小突起が多数あり、黒色。エライオソーム(Elaiosome)が付着していて、蟻によって運ばれます。

 全草にアルカロイド4)を含む毒草です。主成分はプロトピン5)で、誤食によって、嘔吐、麻痺が起こります。食べてはいけません。また、茎を折ったりした時に悪臭がしますが、これを吸い込むと人によっては気持ちが悪くなったりします。臭いを強く吸い込んではいけません。

★  ★  ★

 花の観察のために再訪すると跡形もなく消えているという事が時たまあります。里山では、キンラン(金襴)やササユリ(笹百合)がそれでした。ササユリの場合、翌年に見に行くと1本もありませんでした。それでも山頂に数本あり、誰かが添え木までしてくれてあったので楽しみは残りました。やがてつぼみを持ち開花という時期、山頂へあがって驚きました。掘り返した跡があり一つ残らず消えていました。よくよく見ると、イノシシが荒らし回ったようでした。これにはがっかりしました。

 そして今年、ミヤマキケマンを撮り直そうと出かけたら、これも消えていました。一瞬、時期を間違えたかと思いました。登り口付近にたくさんあったのに、今は草ぼうぼうとして以前と比べて荒れ果てています。おかしいと思い、しばらく登って行きましたが見つからず、雨が降りそうな天候だったので、あきらめて下りました。小川を隔ててカモシカが、じっと動かずこちらを伺っていました。付近の山肌では伐採工事が行われて雰囲気が変わっていました。

 いつも咲く花が今年も咲くという保証はありません。山の道でさえ、倒木1本で道筋が変わり、崩落して廃道となります。それでなくても人が入らなくなった山道は消えてしまいます。それを復活させるには並々ならぬ努力が必要となります。話を生物に戻せば、ありふれた人なつこいアホウドリしかり、トキしかり。例え人為的でなくても自然界は流動していることを実感させられました。失って初めて大切さが分かるものです。

 ※ササユリは、少し離れた場所で咲きました。2012.06.13に確認、翌日、蕾を持つものも見つかりました。「お前達、よく生きていたな」と思いながら撮影しました。何となく、「山に生きる私たちは、そんなにヤワじゃないわ」と聞こえてくるようでした。

1)フウロケマン(風露華鬘):Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. pallida
2)キケマン(黄華鬘):Corydalis heterocarpa Siebold et Zucc. var. japonica (Franch. et Sav.) Ohwi
3)羽状複葉(うじょうふくよう):葉の軸から小葉が左右に鳥の羽のように並ぶ葉の形態。pinnate compound leaf。二回羽状複葉は、再複葉(decompound leaf)のひとつで、羽状複葉の小葉が羽状になっているもの。bipinnate compound leaf。
4)アルカロイド(alkaloid):窒素原子を分子内に含む塩基性成分の総称。植物毒のひとつで、薬用として用いられるものもある。
5)プロトピン(protopine):C20H19NO5
 ミヤマキケマンの成分:protopine, capauridine, capaurimine, capaurine, l-tetrahydropalmatine(以上、フウロケマンと同じ), sanguinarine (金子・成戸 1970) 。

Japanese common name : Miyama-ki-keman
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Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. tenuis Yatabe
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先端が唇状、後部に緩やかに屈曲した距がある黄色花

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咲き始めは上向きに花を密集させる。

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褐色で無毛、軟弱で多汁質の茎。茎先に総状花序をつける。

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左:葉は、1~2回羽状複葉で、小葉は羽状に深く裂ける。 右:茎は叢生する。


ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. tenuis Yatabe
花期:4月~6月 越年草 草丈:20~45cm 花冠長:20~23mm 花序長:4~10cm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)/キケマン属
pallida : pallidus(淡白色の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
var. : varietas(変種)
tenuis : 軟質の
Yatabe : 矢田部良吉 Ryokichi Yatabe (1851-1899)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.03.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

22 June 2012
Last modified: 9 April 2018
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by pianix | 2012-06-16 00:00 | | Comments(6)
キバナアキギリ(黄花秋桐)
 キバナアキギリ(黄花秋桐)は、シソ科アキギリ属の多年草です。本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、花色が黄色で、秋に咲き、葉がキリ(桐)に似る事から。別名のコトジソウ(琴柱草)は、葉の形状を琴柱(和琴や箏の楽器で弦を支え音高を調節するもの)に例えたもの。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。アキギリ属(Salvia C. Linnaeus, 1753)は熱帯から温帯にかけて分布し500~900種以上があると言われ、日本には10種程が自生します。

 山地の林縁に自生します。茎は、シソ科植物によく見られる四角形で、分枝せずに立ち上がり、草丈20~40cmになります。葉は対生します。長さ5~10cm、幅4~7cmの三角状鉾形で基部が張り出します。両面に毛があります。

 花期は8月から10月。茎頂に薄黄色の唇形花を穂状につけます。唇形花とは筒状の合弁花で、先端が唇のように上下に分かれるものを言います。花冠は長さ2.5~3.5cm。上唇は筒部から真っ直ぐに立ち上がり、下唇は先が3裂して丸みを帯び、下垂します。花冠は大きく「く」の字形に開きます。

 虫媒花です。上唇に雄しべが隠れていて、基部に退化した暗紫色の雄しべが繋がっています。退化雄しべに虫が乗ると上にある雄しべが出てきて花粉をスタンプします。葯は2個。雌しべは暗紫色で、上唇から長く突きだし、柱頭は2裂します。萼は2裂して長さ約8mm。マルハナバチ等が媒介します。果実は4分果で、長さ約2.5mm。

 変種として、長野県の木曽地方から岐阜県付近に分布する、キソキバナアキギリ(木曽黄花秋桐)Salvia nipponica Miq. var. kisoensis K.Imai 、紫色がまだらになった花冠の、シボリミヤマアキギリ(絞り深山秋桐)Salvia glabrescens (Franch. et Sav.) Makino var. purpureomaculata (Makino) K.Inoue があります。交雑種として、キバナアキギリとシナノアキギリの交雑である、サクキバナアキギリ(佐久黄花秋桐)Salvia x sakuensis Naruh. et Hihara があります。

 よく似た学名で日本産のサルビアとされるものに、アキノタムラソウ(秋の田村草)Salvia japonica Thunb.があります。

Japanese common name : kibana-akigiri
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Salvia nipponica Miq.
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茎頂に薄黄色の唇形花を穂状につける。

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暗紫色の退化雄しべの上に雄しべ。雌しべは上唇から長く突き出し、柱頭は2裂する。

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葉は対生し、三角状鉾形で基部が張り出す。


キバナアキギリ(黄花秋桐)
別名:コトジソウ(琴柱草)
シソ科アキギリ属
学名:Salvia nipponica Miq.
花期:8~10月 多年草 草丈:20~40cm 花冠長:25~35mm

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【学名解説】
Salvia : sage(セージ)の古名|salvare(治療)・salveo(健康)/アキギリ属
nipponica : nipponicus(日本本州の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
竜爪山(Alt.1051m) 2008.09.25
高山(牛ヶ峰 Alt. 716.7m) 2015.09.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

3 October 2010, 22 September 2015
Last modified: 2 July 2016
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by pianix | 2010-10-03 00:00 | | Comments(0)