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セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
 タンポポは大きく外来種と在来種に分けられます。外来種優勢と言われる中で、安倍川河川敷には在来種がたくさん咲きます。あるところで籾殻(もみがら)を敷き詰めた場所があり、タンポポが花を咲かせていました。外来種のセイヨウタンポポ(西洋蒲公英)ですが、その萼片が作り物のように整然としていたので鳥肌が立ちました。葉は、籾殻の中に埋まったままでした。

☆  ☆  ☆

 セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)は、キク科タンポポ属の多年草です。ヨーロッパ原産で、世界各地に進出している世界種(cosmopolitan species)です。明治時代に北海道の宣教師が野菜として栽培したものが逸出して野生化した、逸出帰化植物と言われています。北ヨーロッパでは春の貴重な野菜として栽培され、花が咲く前の葉を食用とします。日本では全国に分布します。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種、日本には約70属360種が分布する巨大な分類群です。タンポポ属(Taraxacum F.H.Wiggers, 1780)は、日本に約22種、世界に400種程があります。

 和名の蒲公英は、タンポポとは読めません。漢名を充てたものだからです。ホコウエイと読む場合は、生薬名としてがほとんどです。名の由来は幾つかあります。綿毛が用具のタンポ(綿を布で包んだもの)に似ているからとか、頭花を鼓に見立てて叩く音に例えたとか数種あります。数が多いのは、どれも有力な根拠を持たないからです。

 総包は頭状花の基部にあり、全体を包むような構造物を指します。外側から順に、総包外片、角状突起、総包内片があります。一般的に、総包外片が反っているものをセイヨウタンポポとしています。実際には遺伝の攪乱があり、判別しにくいものが出現しています。花は黄色の舌状花が多数付く頭状花序で、下から子房、冠毛があり、雌しべには先が丸まった柱頭があります。種子には冠毛が付きます。大型の冠毛で、種子を広く散布するのに在来種より有利とされています。種子の色は灰褐色です。赤みを帯びるものはアカミタンポポ(赤実蒲公英)Taraxacum laevigatum DC.として区別されています。

 セイヨウタンポポとアカミタンポポは共に染色体が3倍体(2n=3x=24)の単為生殖(受粉無しに種子を作る)ですが、ごく稀に、1~2倍体を持つものが現れます。正常な花粉を作りだし、これが在来種と交雑する事になります。在来種に外来種の遺伝子を持つ種子を作らせる事から、盗賊種(Compilospecies)とも言います。

 多数の根出葉を出します。葉は倒披針形で、縁が深く羽状に切れ込みます。英語では、この様子を例えて、タンポポのことをDandelion(Dande=歯、lion=ライオン)と言います。長さは8~13cm程になります。茎は中空で、傷つけると乳液が出ます。根はローストして珈琲の代用品、花はワインの原材料、葉は野菜として利用されます。

参考:セイヨウタンポポ(西洋蒲公英) シロバナタンポポ(白花蒲公英) トウカイタンポポ(東海蒲公英)

Japanese common name : Seiyou-tanpopo
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Taraxacum officinale Weber ex F.H.Wigg.


セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)
キク科タンポポ属
学名:Taraxacum officinale Weber ex F.H.Wigg.
花期:4月~6月/9月~11月 多年草 草丈:30~40cm 花径:35~50mm

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【学名解説】
Taraxacum : tharakhchakon | talkh chakok(苦い草)/タンポポ属
officinale : officinalis(薬用の・薬効のある)
Weber : Georg Heinrich Weber (1752-1828)
ex : ~による
F.H.Wigg. : Friedrich Heinrich Wiggers (1746-1811)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から14.75km (足久保) 2006.01.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 8 February 2006
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by pianix | 2006-02-08 00:00 | | Trackback | Comments(5)
ワタ(綿)
 加工品が多いと、原材料を勘違いする場合があります。例えば、西瓜や落花生の果実が木からぶら下がっていると思いこんでいる子供がいます。アジの開きが泳いでるとなると、その想像力には感服するものの、寂しい思いもします。布団の中身のワタも、植物由来であることを知らない子供が多いし、知っていても、どのような形で付いているのか見たことが無いという人も多いようです。

☆  ☆  ☆

 ワタ(綿)は、アオイ科ワタ属の1年草です。東南アジアが原産です。古くから栽培されてきた繊維作物で、インドのモヘンジョ・ダロ遺跡(紀元前2500~1500年頃)からも発見されているそうです。名の由来は、不明です。綿は中国名で、カイコ由来から変遷して木綿綿を差すようになりました。英名は、tree cotton、あるいはCotton Plant。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は世界に121属1550種が分布、ワタ属(Gossypium L. (1753))は約40種があります。

 日本へは799年(延暦18年)に三河に漂着したインド人よって種がもたらされました(類聚国史による)。その後消滅してしまい、何度かの導入も失敗しています。気候風土が合わなかったと推測されます。

 文禄年間(1592~1595)に中国から入った種子により栽培が成功します。関東以西に広まり、明治20年までには2万4千トンの収穫がありました。その後は安価な輸入品に押され衰退し、商業栽培はほとんど無くなりました。2002年の綿実(食用油・乳牛の餌・油粕は有機肥料)輸入量は約15万トンであり、オーストリアからが96%を占めるに至っています。

 大別すると、アジアワタ(亜細亜綿)とリクチワタ(陸地綿=アプランドワタ)があります。アジアワタには、アジアワタ(Gossypium herbaceum L.)とインドワタ(Gossypium arboreum L.)があります。日本で栽培されてきたのはアジアワタの系統と考えられています。

 花後5週間ほどでできる果実は、卵形の蒴果(さくか)で、英語でコットンボール(Cotton Ball)と呼ばれます。初めは緑色で熟すと薄茶色になり、3~5片に割れて開きます。中から綿毛に包まれた20個以上の種子(綿実)が顔を出します。これを花に例えて綿花と言います。綿の花そのものではありません。綿毛は布団の綿や糸、織物として利用され、綿実の殻はキノコ栽培の培地としての利用があります。綿実には脂肪油約20%が含まれ食用油が精製されます。種子には催乳作用(女性の乳汁の分泌を増大させる作用)があります。ゴシポール(gossypol)という成分は有毒(食べると出血性胃腸障害を起こす・男性避妊薬)で、綿実油の精製ではこれを除去します。

 花は、淡黄色の花弁が5枚で、中心部が濃紅色をしています。オクラに似ています。一日花です。葉は3~5裂します。ワタの最適温度は20~28度の範囲で、生育期には多量の雨が必要となります。塩濃度の高い土壌でも生育する代わりに酸性を嫌う性質があります。種子で繁殖します。現在は綿毛が長いリクチワタ (陸地綿)(Gossypium hirsutum L.)の栽培が主流で、園芸用としても出回っています。

Japanese common name : Wata
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Gossypium herbaceum L.


ワタ(綿)
シロバナワタ(白花綿)
アオイ科ワタ属
学名:Gossypium herbaceum L.
花期:7月~9月 1年草(熱帯地方では多年草) 草丈:90~120cm 花径:5~6cm

【学名解説】
Gossypium : gossypion|gossum(腫れもの)/ワタ属
herbaceum : herbaceus(草本の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県立大学 薬用植物園 2005.12.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 February 2006
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by pianix | 2006-02-07 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ソシンロウバイ(素心蝋梅)
 ソシンロウバイ(素心蝋梅)は、ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木です。ロウバイ(蝋梅)の一品種です。ロウバイが花の中心部が暗紫色になるのに対して、ソシンロウバイは花弁全体が黄色になります。江戸時代には渡来されていたと言われています。この2種はロウバイ属です。以下、ロウバイと同様なので、「ロウバイ(蝋梅)」を参照してください。

☆  ☆  ☆

 学名は階級づけられて、上位から界(Kingdom)、門(Division/Phylum)、網(Class)、目(Order)、科(Family)、属(Genus)、種(Speices)と定められています。国際植物命名規約では、その内の、科・属・種を規制します。種の下に、亜種(Subspecies)、変種(varietas)、型(Form)、品種(Race)を設けます。園芸品種(cultivana varietas)、交配種(hybrid)、二種間交配種(x)等も使われます。

 ロウバイを眺めていたら、見物客の何人かは「オウバイ(黄梅)は終わったな、下を向いている」と話していました。ロウバイをモクセイ科のオウバイ(黄梅)と間違えているようです。確かに一文字違いの発音ですから紛らわしいのかもしれません。その上、名前に梅の文字を使っています。ところが、ウメ(梅)はバラ科サクラ属ですが、ロウバイはロウバイ科ロウバイ属、オウバイはモクセイ科ソケイ属で、異なる性質です。

 私は中学生の時に歌を作り、NHKテレビに出演した事がありました。その歌の題名は「白薔薇の夢」でした。今思い起こすと、薔薇の外観さえもあやふやで、薔薇そのものを、ほとんど知らない状態でした。言葉に実体がなかったのです。言葉と実体の解離は普段の生活でも問題を起こします。特に、見かけ以上に自分を背伸びさせたい状況におかれると頻発するかもしれません。いわゆる知ったかぶりです。植物を観察していると、頭の中で、曖昧な言葉が実体と合わさる瞬間があります。植物に対して、大きな驚きと敬愛の念を抱く時です。植物の名を知るというのは、こういう事なのかと実感しています。

 梅の蕾は堅いのに、「梅は咲いたか、桜はまだかいな」と梅園で歌う粋なかたもいました。春を待ちわびる日本人の季節感覚が樹木と合わさっている事が分かります。ロウバイは、それらの前哨戦のような、春を予感させる迎春花です。

Japanese common name : Sosin-roubai
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Chimonanthus praecox (L.) Link f. concolor (Makino) Makino


ソシンロウバイ(素心蝋梅)
ロウバイ科ロウバイ属
学名:Chimonanthus praecox (L.) Link f. concolor (Makino) Makino
synonym : Chimonanthus praecox Link f. lutea (Makino) Okuyama
花期:12月~2月 落葉低木 樹高:2~5m 花径:2cm

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【学名解説】
Chimonanthus : cheimon(冬)+anthos(花)/ロウバイ属
praecox : 早期の・早熟の・早咲きの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Link : Johann Heinrich Friedrich Link (1767-1851)
f. : forma(品種)
concolor : con(共に)+color(色)/同色の 
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
lutea : luteus(黄色の)
Okuyama : 奥山春季 Shunki Okuyama (1909-1998)

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」(植栽) 2006.01.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

29 January 2006
Last modified: 06 January 2015
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by pianix | 2006-01-29 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ロウバイ(蝋梅)
 ロウバイ(蝋梅)は、ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木です。中国(湖北・江西省近辺)が原産で、17世紀頃に渡来したと言われています。日本全国に分布します。蝋質の花を付けるのが名の由来で、漢名の音読によります。旧暦12月の臘月に咲くからとの説もあります。別名のトウバイ(唐梅)とカラウメ(唐梅)は、共に産地国の中国や朝鮮半島を経由して来た事を表しています。英名は、Winter Sweet。

 梅の名が付けられていますが、バラ科ではなくロウバイ科(Calycanthaceae Lindley, 1819)であり、梅とは異なります。ロウバイ科には、クロバナロウバイ属(北米産・5種)、ロウバイ属(Chimonanthus J. Lindley, 1819/中国産・2種)の2属7種があります。

 幹と共に枝も良く分岐します。樹皮には横長楕円形の皮目があります。枝分かれした先に径2cm程の黄色の花を付けますが、花弁と萼片は区別できません。花被片は多数あり、外花被片は淡黄色で、内花被片は小形で紫褐色をしています。蝋細工のようだと言われるように半透明で光沢があります。下か横向きに咲きます。花には芳香があり、ボルネオール(Borneol)、リナロール(Linalool)、カンファー(Camphor)、ファルネゾール(Farnesol)、シネオール(Cineole)等の精油成分が含まれています。

 花が咲いた後に葉が展開します。葉は柄があり、長楕円形の全縁(鋸歯がない)で、対生します。長さ15cm位で、光沢があり、先端は尖ります。果実は卵形で長さ4cm程、種子は褐色で1cm程です。花蕾を生薬の蝋梅花として、解熱・鎮咳・鎮痛薬として用います。花弁全体が黄色であるのは、ソシンロウバイ(素心蝋梅)です。割合としては、ソシンロウバイの方が多いようです。

Japanese common name : Roubai
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Chimonanthus praecox (L.) Link


ロウバイ(蝋梅)
ロウバイ科ロウバイ属
別名:トウバイ(唐梅)/カラウメ(唐梅)
学名:Chimonanthus praecox (L.) Link
花期:12月~2月 落葉低木 樹高:2~5m 花径:2cm

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【学名解説】
Chimonanthus : cheimon(冬)+anthos(花)/ロウバイ属
praecox : 早期の・早熟の・早咲きの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Link : Johann Heinrich Friedrich Link (1767-1851)

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」(植栽) 2006.01.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 January 2006
Last modified: 19 March 2014
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by pianix | 2006-01-28 00:00 | | Trackback | Comments(2)
カラシナ(芥子菜)
 カラシナ(芥子菜)は、アブラナ科アブラナ属の2年草です。ヨーロッパ原産で、食用として導入したものが野生化した帰化植物です。主に関東以西に分布します。名の由来は、種子を芥子にしたことから。英名も、和名と同じく、leaf mustardです。

 一般的に、私達が「菜の花」と言っているものは、アブラナ科の黄色い花を付けるものを指す事が多いようです。そして、その種類は多く、判別に頭を悩ます事になります。河川敷では大きなロゼットを見る事が多く、その内の幾つかは花を付けています。

 双子葉綱ケシ目のアブラナ科(Cruciferae Juss. 1789)で、世界に約390属3200種が知られています。日本には100種以上があります。科名は十字架を意味し、4弁の十字状の花を付ける事に由来します。以前は十字花科とされていました。

 アブラナ(Brassica rapa L. var. oleifera DC.)と、クロガラシ(Brassica nigra (L.) W.D.J.Koch)の、雑種4倍体です。それで、カラシナとセイヨウアブラナ(西洋油菜)は、大変よく似ています。

 簡単な見分け方法ですが、茎の基部で葉を抱かないのがカラシナです。葉は互生し、30cm程になります。羽状に分裂し鋸歯があります。花は扁平の十字形をしています。染色体数は、2n=4x=36。

Japanese common name : Karasina
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Brassica juncea (L.) Czern.
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葉は茎を抱かない


カラシナ(西洋芥子菜)
別名:セイヨウカラシナ(西洋芥子菜)
アブラナ科アブラナ属
学名:Brassica juncea (L.) Czern.
花期:3月~5月 2年草 草丈:30~80cm 花径:1cm

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【学名解説】
Brassica : キャベツの古いラテン語/アブラナ属
juncea : junceus(イグサに似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Czern. : Vassilii Matveievitch Czernajew (1796-1871)
---
et : 及び(命名者が2名の時など・&に同じ)
Coss. : Ernest Saint-Charles Cosson (1819-1889)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 右岸河川敷 2006.01.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 January 2006
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by pianix | 2006-01-27 00:00 | | Trackback | Comments(1)
ノゲシ(野芥子)
 ノゲシ(野芥子)は、キク科ノゲシ属の2年草(越年草)です。ヨーロッパ原産で、中国経由で日本に入ってきたと言われている史前帰化植物です。世界中で見られる世界種で、日本でも全国に分布します。双子葉植物綱合弁花亜綱のキク科植物です。ロゼットで越冬し春以降に開花する越年草ですが、冬でも開花する事があります。温暖地では通年見られます。葉がケシ科のケシ(芥子)に似ている事から名が付けられました。ハルノノゲシ(春の野芥子)は、秋に開花するアキノノゲシ(秋の野芥子)に対する別名です。ノゲシ属やアキノノゲシ属は食用にもなりますが、日本では馴染みが薄いようです。

 葉は全体に柔らかく、下部は長い葉柄があり、羽状に裂けます(大根の葉に似ている)。上部は茎を抱き、刺状の粗い距歯がありますが、オニノゲシ(鬼野芥子)のような硬い棘はありません。花は、黄色の舌状花からなる頭花を持ち、タンポポに似ています。熟すと総苞が反り返り、球状の綿毛になります。果実は褐色の痩果で、白い冠毛があり、果体に直接付きます。長い柄の先につくタンポポと異なるところです。茎は中空で、傷つけると乳液が出ます。ケシの場合は、乳液を乾燥させ黒褐色になったものが阿片(Opium)となります。ノゲシの場合は当然の事ながら麻薬性はありません。

 このノゲシは、崖下の小川のほとりに咲いていました。撮影しようか迷ったのは、登って戻れるか不安だったからです。少し滑れば、冷たい水に浸かる事になります。結局は、あまりにも気持ちよさそうに咲いていたので降りてしまったわけです。勿忘草だったら流されてもロマンチックかもしれません。土手で滑り落ちるのは慣れていますが、先日は恥ずかしい思いをしました。絶好調の二十?肩を強打し、「再起不能」とつぶやき、「まだまだ~」と威勢良く起きあがったら、遠くで一部始終を見ていた人がいたのです。

参考:ホソバアキノノゲシ(細葉秋の野芥子)

Japanese common name : Nogesi
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Sonchus oleraceus L.


ノゲシ(野芥子)
別名:ハルノノゲシ(春の野芥子)
キク科ノゲシ属
学名:Sonchus oleraceus L.
花期:4月~8月 2年草(越年草) 草丈:50~100cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Sonchus : アザミなどを一括したギリシャ古名/ノゲシ属
oleraceus : 食用蔬菜の・畑に栽培の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2006.01.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

12 January 2006
Last modified: June 11, 2008
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by pianix | 2006-01-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤブヘビイチゴ(薮蛇苺)
 ヤブヘビイチゴ(薮蛇苺)は、バラ科キジムシロ属の多年草です。主に東南アジアに分布し、日本では関東以西に分布する在来種です。半日陰の藪陰などに生育します。名の由来は不明です。蛇がいそうな藪に生育する事から蛇が食べる苺、匍匐茎が蛇のようだから等の説があり、ヘビイチゴと区別するために藪が付けられたと言われています。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、世界に107属3100種が分布します。キジムシロ属(Potentilla L. (1753))は、世界に約300種があり、日本には約20種程が分布します。

 ヘビイチゴ(蛇苺)とオヘビイチゴ(雄蛇苺)、ヤブヘビイチゴは共にキジムシロ属で、大変良く似ています。ヘビイチゴは日向に咲く事が多く、ヤブヘビイチゴのほうが大型です。どちらも1本の花茎に5弁の黄色の花を1個咲かせます。染色体数は、2n=12x=84。

 相違点としてあげられるものに果実があります。果実の赤い部分は果床と言い、その上にいくつものぶつぶつした痩果(種子)が付いています。ヤブヘビイチゴは、この痩果に艶があり、ヘビイチゴは光沢がない事で区別します。光沢がないのは痩果に瘤状小突起があるためです。この果実に毒はなく、食べられない事はありませんが、すかすかして美味しくないので、食用にはしません。

 花期の場合は、萼で区別します。萼は2列になっていて、副萼片(外側にある萼片)が花より大きく出ているものがヤブヘビイチゴです。この形態はキジムシロ属の特徴です。葉は3出複葉で、ヤブヘビイチゴは先端がやや尖っている形に対し、ヘビイチゴは扇形に近い形をしています。

 品種に、白実をつける、シロミノヤブヘビイチゴ(白実野藪蛇苺)Potentilla indica (Andrews) Th.Wolf f. albocaput (Naruh.) H.Ohashi があり、福井県で1991年に発見されました。福井県の県域絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
 ヘビイチゴの白実品種は、シロミノヘビイチゴ(白実野蛇苺)Potentilla hebiichigo f. leucocephala (Makino) Yonek. et H.Ohashi で、牧野富太郎博士が1930年に栃木県で発見したものです。
 ヘビイチゴとヤブヘビイチゴの交雑種に、アイノコヘビイチゴ(あいのこ蛇苺)Potentilla × harakurosawae (Naruh. & M. Sugim.) H. Ohashi があり、果実は不稔です。

Japanese common name : Yabu-hebi-itigo
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Potentilla indica (Andrews) Th.Wolf
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艶がある痩果


ヤブヘビイチゴ(薮蛇苺)
バラ科キジムシロ属
学名:Potentilla indica (Andrews) Th.Wolf
synonym : Duchesnea indica (Andrews) Focke
花期:4月~6月 多年草 草丈:5~10cm 花径:16~24mm 果期:7月

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【学名解説】
Potentilla : potens(強力)の縮小形、薬効を持つ/キジムシロ属
indica : indicus(インドの)
Andrews : Henry Charles Andrews (fl. 1794-1830)
Th.Wolf : (Franz) Theodor Wolf (1841-1921)
fl. : floruit(在世期、活動期)/生没年が不明な人物の場合に使用
---
Duchesnea : Antane Nicolas Duchesne (1747-1827)に因む/ヘビイチゴ属
Focke : Wilhelm Olbers Focke (1834-1922)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2005.11.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

June 11, 2008
Last modified: 17 July 2015 (Scientific name update)
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by pianix | 2005-12-30 00:00 | | Trackback | Comments(1)
オオジシバリ(大地縛)
 オオジシバリ(大地縛)は、キク科ノニガナ属の多年草です。イワニガナ(岩苦菜)の別名であるジシバリ(地縛り)よりも大型である事から名付けられました。それからするとオオイワニガナとなるはずですが、そうなってはいません。走出枝(ランナー)を出し、地面を縛るように生える事から地縛の名が付いています。別名はツルニガナです。イワニガナが乾燥したところに多い事に対し、オオジシバリは、やや湿り気の多いところに生育するようです。本来は春の花ですが、温暖な地方では初冬から開花します。種子と地下茎で繁殖します。染色体数は、2n=48。

 葉の形が違う事で区別ができます。このオオジシバリの葉は、先端が尖り気味のヘラ型(倒披針形から、ヘラ状楕円形)ですが、イワニガナは丸みを帯びたスプーン型です。どちらも柄があり、鋸歯がない全縁ですが、オオジシバリは羽状に切れ込む場合があります。茎や葉を傷つけると乳液を出します。民間療法の生薬「剪刀股(せんとうこ)」として、健胃・消炎・鼻づまりに使われます。

★  ★  ★

 夢を語ると言うと、通常は自分に内在する抱負や希望を話す事になります。古来は、言葉の通りに自分が見た夢を語る意味で、シャーマン的な行為を指す事になります。脳の不思議な働きで潜在意識が夢に現れますが、それを伝えるわけです。先日は、この花は何科で何属かという夢を見ました。それはそれは恐ろしく疲れるものでした。何も分からずに焦っている自分がいました。別名も混乱する時があります。

 王子縛ってどうするの?(王子縛り)と笑い話になりますが、「おおじ」と「おうじ」の聞き間違えも起きそうですね。

Japanese common name :Oo-jisibari
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Ixeris japonica (Burm.f.) Nakai


オオジシバリ(大地縛)
別名:ツルニガナ(蔓苦菜)
キク科ノニガナ属
学名:Ixeris japonica (Burm.f.) Nakai
synonym : Ixeris debilis A. Gray
花期:4月~6月 多年草 草丈:10~30cm 花径:25~30mm

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【学名解説】
Ixeris : 語源不明/ノニガナ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Burm.f. : Nicolaas Laurens (Nicolaus Laurent) Burman (1734-1793)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
---
debilis : 弱小な・軟弱な・脆弱な
A. Gray : Asa Gray (1810-1888)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.0km 右岸河川敷 2005.12.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 11, 2008
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by pianix | 2005-12-29 00:00 | | Trackback(1) | Comments(3)
カタバミ(傍食)
 カタバミ(傍食)は、カタバミ科カタバミ属の多年草です。史前帰化植物と言われ、日本全国に分布します。カタバミ属で日本に自生(野生種)しているのは、カタバミ(傍食)、ミヤマカタバミ(深山傍食)、白花のコミヤマカタバミ(小深山傍食)等です。以前は酢漿草(さくしょうそう)、鳩酸草と漢字表記されましたが、現在では傍食に落ち着いてきました。酢漿草は、蓚酸(oxalic acid)を含むことに由来しています。

 カタバミ科(Oxalidaceae R.Br. (1818))は、8属約930種が分布します。カタバミ属(Oxalis L. (1753))は約850種があり、日本には6種が自生します。

 槍状の果実が熟すと、少しの刺激で種をはじき飛ばして拡散させます。繁殖力が旺盛で、農家や園芸を楽しむ人たちの悩める野草の一つになっています。花びらは5枚で、黄色です。葉も花も、夕方には閉じる日周運動をします。名の由来は、この日周運動によって閉じられた葉の様子から。染色体数は2n=24,48。

 葉は倒心形で、全縁です。葉を図案化して家紋として採用されて来ました。傍食紋と言い、その数は100種類を越え、桐紋の次に多い種類です。これは繁殖力の強さを武家社会が好んだためと思われますが、実際は平安時代から存在し、大名の他、公家にも多い事から真偽不明です。はっきりしているのは、カタバミが大変身近であった事で、その現れと言えます。「丸に片喰」「丸に剣片喰」の紋が代表的なものです。

 在来カタバミは1変種、3品種があります。ケカタバミ(毛片喰)が変種です。葉が赤紫色を帯びるアカカタバミ(赤傍食)は品種です。花びらが黄色で、立ち上がって咲くものは帰化種のオッタチカタバミ(御立片喰)です。ムラサキカタバミ(紫傍食)や、ハナカタバミ(花傍食)は帰化植物(帰化種)です。

・ケカタバミ(毛片喰)Oxalis corniculata L. var. trichocaulon H.Lev.
・オッタチカタバミ(おっ立ち片喰)Oxalis dillenii Jacq.

参考:ハナカタバミ(花片喰) ムラサキカタバミ(紫傍喰)

Japanese common name : Katabami
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Oxalis corniculata L.

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黄色の5弁花。萼片は5個。

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左:雄しべは短長5本、花柱も5本 右:外種皮に包まれた種子。
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アカカタバミ(赤片喰)
Oxalis corniculata L. f. rubrifolia (Makino) H.Hara


カタバミ(傍食)
カタバミ科カタバミ属
学名:Oxalis corniculata L.
花期:5月~9月 多年草 草丈:2~10cm 花径:8mm 実期:6~10月

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【学名解説】
Oxalis : oxys(酸っぱい)/カタバミ属
corniculata : 小角のある
L. : Carl von Linne(1707-1778)
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f. : forma(品種)
rubrifolia : rubrifolius(赤い葉の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 左岸河川敷 2005.11.02
安倍川/河口から8.00km 左岸河川敷 2007.04.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 December 2005
Last modified: 15 November 2016
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by pianix | 2005-12-20 00:00 | | Trackback(1) | Comments(1)
ツルナ(蔓菜)
 ツルナ(蔓菜)は、ハマミズナ科ツルナ属の多年草です。世界に分布する海岸植物です。日本では太平洋側の浜辺に生育します。蔓状で食用とされる事から、蔓の菜っ葉という意味で蔓菜の名が付いています。英名は、New Zealand Spinach(ニュージーランド・ホウレン草)で、キャプテン・クック(James Cook (1728-1779))がニュージーランドから持ち帰った事に由来しています。

 ハマミズナ科(Aizoaceae Martinov (1820))は、約135属1800種が分布します。旧分類のクロンキストおよびエングラー体系では、ツルナ科でした。ツルナ属(Tetragonia L. (1753))は、日本にはツルナのみが自生します。

 茎は木質化し地を這い、蔓状に伸び、途中で立ち上がります。全体的に、ざらついた柔らかな感触です。表面に非常に細かな粒状の突起物があるためです。葉は互生します。肉厚の三角形状葉で長さ3~7cm。食用となります。

 花期は4月から11月頃。小さな黄緑色の花を、葉脇に付けます。花びらに見えるのは萼片で、3~5裂しています。長い期間にわたって花をつけます。果実は核果です。角が生えたような形状で、波に乗って漂流し、海流の行き着く浜に打ち上げられて根付きます。染色体数は、2n=16。

 全草を乾燥させ、生薬のバンキョウ(蕃杏)として用います。水はけの良い土や砂地で、日当たりの良い明るい環境であれば良く育ちます。江戸時代から食べられてきた野菜で、若い茎や葉を灰汁抜きして、おひたしや和え物として調理されます。

Japanese common name : Turuna
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Tetragonia tetragonoides (Pall.) Kuntze


ツルナ(蔓菜)
別名:ハマヂシャ(浜萵苣)/ニュージーランド・スピナッチ(New Zealand spinach)
ハマミズナ科ツルナ属
学名:Tetragonia tetragonoides (Pall.) Kuntze
花期:4月~11月 多年草 草丈:30~60cm 花径:約3~5mm

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【学名解説】
Tetragonia : tetra(四)+gonia(膝)/ツルナ属
tetragonoides : tetragonus(四角の)+ides(似た)
Pall. : Peter Simon von Pallas (1741-1811)
Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 左岸浜辺 2005.11.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 December 2005
Last modified: June 14, 2008
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by pianix | 2005-12-08 00:00 | 海辺の植物 | Trackback | Comments(0)